「ゲシュタルト(Gestalt)」は独語で「形態」や「形姿」を意味する。ゲーテによればそれは完結したものや静止したものの形を指すというより、有機体などのようにつねに運動のなかにあり、形成(Bildung)されるものの形態を指すという意味で、像(Figur)や形(Form)と区別される。また形成(Bildung)が、「image」と同義語の形象(Bild)の派生語であることから、視覚によって知覚される感覚像において結ばれる形態を指すとも言えるだろう。一言でいえば、知覚や表象における形態である。広く知られているゲシュタルト心理学では、対象としてのゲシュタルトの認知を問題にする際、白と黒で塗り分けられた「図と地」の図形がよく用いられるので、ゲシュタルトが「図と地」の画像の総称として用いられる場合もある。神経性理学者V・v・ヴァイツゼッカーは『ゲシュタルトクライス』において、ゲシュタルトを認識論的にではなく行為論的に、時間をともなう概念として位置づけている。
(槻橋修)
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