1957年から79年まで、東京国立近代美術館と京都国立近代美術館を会場に隔年開催された国際版画展。旧ユーゴスラビアのリュブリアナ国際版画ビエンナーレとならんで、大規模な国際版画展としては老舗のひとつだった。主催は、東京国立近代美術館と国際交流基金の共催で、国別に人数枠を設け、各国のコミッショナーの推薦で作家を選定する方式をとっていた。東京国際版画ビエンナーレが開催されていた期間は、アメリカをはじめとして世界中で版画制作が大きな関心を集めていた時代であり、同展の出品者リストには、いわゆる版画作家のみならず、J・ジョーンズ、R・ラウシェンバーグ、J・ローゼンクイスト、R・ハミルトン、E・ルーシェ、K・ソニアなど、現代美術の新しいスターたちの名前が見出せる。こうした版画展は、東京やリュブリアナ以外にも、60年代から70年代にかけて世界各地で続々と開始されたが、その多くはアメリカや西ヨーロッパといったいわゆるアート先進国ではなく周辺の国で開催されている。これは版画の性質上、輸送が軽便で経費的に容易に開催することが可能なためと思われるが、プリント・リバイバルの熱気が冷めた現在となっては、次第にその存在意義を問われつつある。
(木戸英行)
関連URL
●東京国立近代美術館 http://ryusei.momat.go.jp/
●京都国立近代美術館 http://www.momak.go.jp/
●ラウシェンバーグ http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/r-rauschenberg.html
●ローゼンクイスト http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/j-rosenquist.html
●ハミルトン http://www.dialnsa.edu/iat97/Documenta/hamilton.html
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