イタリア語でIl Metodo Morelliano。イタリアの医師、自然科学者ジョヴァンニ・モレルリ(1816−91)が提唱した美術史学の方法。美術作品の図像を解釈する、作品の全体的意味を探るといった方法ではなく、作品の細部、とりわけ普通は目立たない箇所であるため真似しにくい耳や爪など人体の各部に注目し、それを分析して比較、対照する方法。例えば絵の中に登場する人物の耳に注目し、その耳の特徴を抽出し、他の作品に描かれた耳の表現と比較、対照することによって作品の真贋を判断したり、作者を同定したりする方法がこれにあたる。失敗や不完全な点のあることは否めないが、とりわけわが国の美術史学の発展に間接的にせよ大影響を与えたバーナード・ベレンソン(1865−1959)が研究に採用したこともあって、わが国ではよく知られている。
(浅沼敬子)
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