子どもが営むアート活動やその作品の総称。一般にその活動は、子どもの伸びやかな創造性やメタスキルの向上などを主な目的として、体験型のワークショップなどの課外活動を通じて行なわれることが多く、既存の学校美術教育とは別個のものとして考えられる。既存の美術教育に対する不信が根底にあるのはもちろんだが、その他にも自己表現、マイノリティ、ジェンダー、リテラシーといったさまざまな問題を孕んでいる。まだ歴史が浅いうえに、子どもの文化的営為をどのように評価していくのかなど難しい面は少なくないが、既存の美術の諸制度に対して多くの問いを投げかける批評的な概念であることは間違いない。なお日本でも、近年キッズアートへの関心が高まっており、多くの地方自治体が公教育プログラムの一環に組み入れており、その成果に注目が集まっている。文献としては、N・ペーリー編の『キッズ・サバイバル』が最も包括的。
(暮沢剛巳)
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