アメリカのアーティスト、W・デ・マリアのランド・アート作品。コンセプチュアルな作品を手がけてきた彼が1970年代初頭より構想し、1977年アメリカ、ニュー・メキシコ州の半砂漠地帯に設置したもので、1マイル×1キロのフィールドに4.5−8.14mのステンレス・スティール製のポールが400本整然と並んでいる。このポールは避雷針の役割も兼ね、雷のよく発生するこの地域では次々と落雷が起きることとなる。ただし落雷を見せることが主なねらいではなく、無機質なポールによって無限に広がる空間を幾何学的に区切ることで緊張間を伴った空間体験を起こさせるものである。この点で彼の1968年の作品《1マイルのドローイング(砂漠にチョークで並行する2本の直線を1マイルにわたって引く作品)》と共通する関心が窺える。この作品はM・ハイザーやR・スミッソンの作品と並んで、都市を遠く離れた、無限とも言える空間を作品にそのまま取り込んでいる。その点で従来の画廊・美術館というシステムを破壊しようとする1970年前後の美術界の動きが最も明快に現われている作品であろう。
(苅谷洋介)
関連URL
●W・デ・マリア http://www.diacenter.org/ltproj/lf/index.html
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