西欧の伝統的舞踊であるバレエへのアンチテーゼから発達した。5番まで決められたパの法則やさまざまな約束事から自由になった踊りを求めたもの。1900年3月16日にロンドンでヨーロッパ・デビューを飾ったI・ダンカンは、靴を脱ぎ捨てた裸足で、パを捨てて、チュチュではなくギリシア風のチュニックで踊った。これがモダン・ダンスの始まりと言うことができるだろう。彼女は音楽もそれまでのダンス曲ではなく、バッハやベートーヴェンを用いて、決められた振付ではなく即興でその時の感情を踊った。このさまざまな規制に縛られない自由な発想は西欧の観客、ダンサー、振付家に多大な影響を与えた。しかし、こういったダンスが運動として主流になるのは1930年代以降のことで、R・セント・デニスやT・ショーン、M・グラハム、D・ハンフリー、M・ウィグマンらを中心に、感情の表現をダンスの中心とするドイツ表現主義舞踊が登場した。現在活躍中のP・バウシュはその延長線上にいると言える。
(芳賀直子)
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