「Module」(寸法)と「Section d'or」(黄金分割)を結びつけた建築家ル・コルビュジエの造語。成人男子の“理想の身長”は182.9cm、住宅の基本寸法は2.26mという極めて具体的な数値を算出したル・コルビュジエは、この概念を「ルネサンス以後初めての建築のプロポーション・システム」と自負し、それは『直角の詩』のような「分割柱」の構図を交えたマニフェストや、多くの実作において発揮されていくことになる。『ル・コルビュジエの生涯――建築とその神話』(住野天平訳、彰国社、1981)において、S・V・モースは“古典的な”人間形態ならぬ、合理的な人体各部測定形態に基づく秩序に、「モデュロール」の本質を見ているが、その機械的な適用は彼が意図した機能主義の核心とは相容れぬものかもしれない。“理性と計算の世界に投影された神話”としての「モデュロール」は世界中の建築家に大きな影響を与え、日本でも、丹下健三がその日本版を考察したことが知られている。
(暮沢剛巳)
関連URL
●丹下健三 http://www.lc.tut.ac.jp/project97/group6/tange-j.html
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