公共的な記念の目的から、特定の人物や事件などを長く後世に伝えるために設立される建造物の総称。広義には、そのものが残っていることで過去の事実を知ることができるあらゆる遺物を指す。モニュメントには一般的に不動性、不変性、永遠性、壮大さなどのモニュメンタリティ(記念性)が要求され、形容詞形であるモニュメンタル(monumental)は、こうした属性をもった造形作品に対する評価の要素として用いられている。このなかで建築におけるモニュメントの扱われ方はより多義的であり、磯崎新の「大文字の建築」を巡る一連の言説では、建築を取り巻く歴史的な環境を俯瞰したうえで、建築が必然的にもつモニュメンタリティについて言及している。また、小林康夫は建築の最も深い欲望として非居住空間を構築することを挙げ、人間の営みとしての“歴史”を指示するモニュメントの欲望が建築に本性的に存在することを示唆している。
(山中新太郎)
関連URL
●磯崎新 http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/a-isozaki.html
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