1977年にパリに開館したポンピドゥー・センターが提唱して以来、多くの美術館の目指すべき理念として広く用いられるようになった言葉。「美術の墓場」という薄暗く閉鎖的な美術館のイメージを脱却し、生活に密着した、生き生きとした創造の場へと変えていこうとする動きのなかで、理想の美術館を意味する言葉として用いられるようになった。ポンピドゥー・センターの開設準備が始まっていた73年には「開かれた美術館」討論・研究会がバーゼル・クンストハレで開かれ、ディ・ヴィルデ(アムステルダム市立美術館館長)、ピエール・ゴディベール(パリ市立美術館ARC館長)、ポンテュス・フルテン(ストックホルム近代美術館館長)などが参加した。しかしこの言葉は、内容が曖昧であるうえに口あたりがよいことから、現在では安易に用いられることが多い。
(鷲田めるろ)
関連URL
●ポンピドゥー・センター http://www.cnac-gp.fr/
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