一般に美術館、博物館に附随するミュージアム・ショップで販売されている商品を指すが、明確な規定はない。ミュージアム・グッズは研究書から生活用品まで種々雑多、多岐にわたるが、おおまかにオリジナル・グッズとセレクト・グッズに分類できる。前者は、館収蔵品のレプリカ、あるいはそれをソースとしてデザインされた商品で、館がそのイメージや個性を打ち出す手段として製品の企画開発から販売まで積極的に関わっていることが多い。こういった商品はヨーロッパ系のミュージアムで充実している。後者は、コレクションに関係なく、その館が独自の目で世界中からセレクトした優良デザイン・機能の品々である。こういったセレクト・ショップ的な発想のショップは、アメリカの美術館によく見受けられる。
ミュージアム・グッズの企画生産に関しては、例えばフランスの国立美術館連合の活動など、欧米では組織的にすすめられているが、それに比べると日本の現状は立ち後れていると言わざるをえない。日本の館では専門の業者任せになっていることがままあり、まだまだ発展の余地があるが、近年、ミュージアム・グッズという言葉の普及とともに、この分野に注目が集まりつつあることも事実である。世界に目を転じてみると、ミュージアム・ショップは単なる美術館の売店という位置づけを超え、さらには支店展開、通信販売など、ミュージアムという枠組みすら超えて、独自に発展していく兆しが見られる。
(井伊あかり)
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