東京・乃木坂に所在する東京大学生産技術研究所が駒場キャンパス内に移転したのに伴って、その跡地にナショナル・ギャラリー(仮称)を建設する計画案。国立の美術館施設としては、東京都内で3館目、全国でも5館目となるが、既存4館と異なり、常設コレクションを一切所有しないクンストハレ式の運営が目指されており、そのため「美術館」ではなく、「ギャラリー」の呼称があてられている。方針としては、既存4館のスタッフが持ち回りで企画を担当する大展示室の企画展と、小展示室での公募展との二本立てが予定されているが、開催企画展が既存4館の巡回展で事足りるのか、常勤スタッフをどの程度、どのような待遇で確保するのか、慢性的な財源不足の折、莫大な施設の建設費用をどのように捻出するのかなど、まだまだ流動的な要素が多い。現時点では、2007年の竣工・開館が予定されているが、公開プロポーザルの結果、黒川紀章案が一等を獲得したほかは、具体的な進展はなかなか見られない。柿落としを飾る展覧会など、詳細な運営案も一切非公表である。
(暮沢剛巳)
|