イギリス・ロンドンの国立美術館。設立は1824年。18世紀後半からヨーロッパ各国で国立美術館設立の気運が高まっていた当時において、最も遅い設立である。
オープン当時は個人宅を展示会場とし、そのコレクションから購入した38枚の作品からの出発であった。以後も民間の蒐集家からの購入、寄贈が相次ぎ、初期のコレクションが形成された。急速に増えていったコレクションの収容のため、1838年、現在の所在地である、トラファルガー広場の北側に移転した。イタリア・ルネサンスから19世紀の印象派までのヨーロッパ絵画の傑作が、各国、各時代にわたってほぼ完璧に集められている。美術史的な完全さという点においては世界で最も質の高いコレクションのひとつであり、絵画史の流れに沿った展示もわかりやすい。
(中島律子)
|