1976年4月、国内外の様々な芸術を紹介することをねらいとしてスタートしたNHK教育テレビの番組。97年4月から、「新日曜美術館」として新スタートし、現在も続いている。
当時多かった、美術史的見地からの美術の捉え方をするのではなく、「私と○○」といった、個人の趣向に基づく視点から、アーティストまたは作品の紹介をするという私的なポイントからの切り口をひとつの魅力として放送を開始した。各界からゲストを迎えており、その中には大江健三郎など著名人も含まれている。
当番組で紹介されて、一躍脚光をあびた作家もいる。画家田中一村などがその一例である。このほとんど無名であった作家が当番組で紹介されたのち、彼の個展が各地の美術館を巡回することになった。
その後、全国の展覧会の情報などを紹介するコーナーなど、視聴者のニーズに少しずつ応えながらの番組づくりをすすめながら、「新日曜美術館」では基本路線を維持しつつも、番組制作側からも視点やテーマを決めて、違った側面からの美術の見方を提示するといった手法も試みられている。また、新コーナーとして、「アート・シーン」というコーナーで、美術界にあるさまざまな情報などを視聴者に紹介するコラムを設け、「美術」の紹介を作家や作品だけに限るのではなく、美術界全般をより身近に感じられるような情報提供を試みているなど、視聴者の意見、時代のニーズに即した番組作りを進めている。
(中島律子)
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