楽音以外の、日常的な機械などの騒音をモティーフとする音楽。1913年、イタリアの作曲家ルイジ・ルッソロ(元は画家として未来派の運動に参加した人物だが)によって、「騒音芸術」と名付けられたものがコンサートホールへともち込まれた。その騒音芸術のために、ルッソロは「イントナルモリ(Intonarumori=騒音調整機)」と称するさまざまな騒音を作り出すための新案機械を製作し、イタリアとイギリスで実演するが、その後はこの実験的作曲活動に対する興味を急速に失い画家に戻ってしまう。またイントナルモリも第2次大戦中に破壊されてしまったため、その実体を知るのに唯一残されたものは、78回転のレコード1枚と写真だけとなってしまった。しかし、楽音と非楽音との境界を取り除いたルッソロの功績は大きく、また未来派とともにその後の芸術活動に及ぼした騒音音楽の影響も少なくない。
(川那聡美)
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