「非具象」の意。「フィギュラティヴ(figurative)」に相反する言葉として、ほかには「アブストラクト(抽象)」、「ノンオブジェクティヴ(非対象)」などがある。
厳密な区別は難しい。20世紀美術では、これらの言葉を作品の中に表われている形が、現実世界にある目で見える形を想起させないような場合の、便宜的な言葉として使用している。
抽象絵画には、現実世界の目に見える形をモティーフとして簡素化したり、デフォルメしたりして、最後には原型をまったく想起させないような図形にするものと、作家の内部にある形や感情を、外界に存在する対象物をモティーフとすることなく表現するものとに大別されるが、「ノンフィギュラティヴ」は、後者の考え方に基づいている。
1920年代から30年代にかけて、こういった外界からのインスピレーションなしで表現された「抽象的」な作風にいろいろなネーミングがなされた。その中で「ノンフィギュラティヴ」は、形のあるものから発想したものではなく、目に見えぬものを表現したものを意味するとされている。
(中島律子)
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