アメリカの季刊美術理論誌。『アートフォーラム』誌の編集者であったR・クラウスとA・マイケルソンが1976年に創刊し、2002年春までに通巻99号を数える。大学出版局(MIT
Press)が版元であり、また誌名がS・エイゼンシュテインの映画に由来することからもわかる通り、高度に理論的なテクストを中心とした編集方針を採用し、後に参加したD・クリンプ、H・フォスター、B・ブクロー、Y=A・ボアらは、いずれも同誌を舞台に本格的な批評活動を展開した。同誌がこのような方針を採用したのは、展覧会レポートを中心とする従来の美術ジャーナリズムへの不満と、C・グリンバーグに代表されるモダニズム批評の克服とを念頭に置いてのことであるが、多くの著者がフランス現代思想をその理論的支柱にしているのに並行して、J=F・リオタールやD・オリエらフランスの論客の寄稿も多い。多くの著者が「オクトーバー」派として総称されるなど、国際的な影響力を持つ半面、その理論的成果が日本語へと翻訳される機会は決して多くはない。「オクトーバー」的な理論の精髄を伝える代表的な翻訳書としては、H・フォスターの編著『反美学――ポストモダンの諸相
』(室井尚+吉岡洋訳、勁草書房、1987)が挙げられる。
(暮沢剛巳)
|