ポンピドゥー・センターの国立近代美術館キュレーターとして「エポック・モード・モラル・パッション」展(1987)の映画部門を担当したカトリーヌ・ダヴィッド、同センターでヴィデオ・アートのコレクションとプログラムを担当するクリスチーヌ・ヴァン・ナッシュ、さらにゲスト・キュレーターとして映像理論家レイモン・ベルールが企画に加わり、1990年同センターの現代ギャラリーで開催された。ベルールの「どこからでもやり直せる」という言葉に表われているように、商業映画、実験映画、ヴィデオ・アートといった別々の領域で行なわれてきたイメージの実験的な試みを統合し、アートの領域に回収しながら、それらのイメージが切り開く可能性を提示しようとした。会場での作品展示のほか、ヴィデオ・アートや映画をセンター内の映写室でも上映。J・ウォールの《壁》から始まる展示は、鑑賞者を視覚と空間の迷路に誘い込んだ。C・マルケルの音と映像によるインスタレーション《堆積》は、彼の映画『ベルリンの壁』を映写。D・アダムスは会場で上映される映画やヴィデオのイメージの抜粋を、報道写真とともにシミュレーションとして写し出した。その他、J・カデュー、M・スノー、B・ヴィオラ、T・クンツェル、G・ヒルら映像作家のほか、D・グラハムなど16組が参加。同展はその後91年から92年、バルセロナ、トロントを巡回。
(柴田勢津子)
関連URL
●ウォール http://www.dialnsa.edu/iat97/Documenta/wall.html
●ヴィオラ http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/b-viola.html
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