今世紀初頭のアメリカ人収集家ダンカン・フィリップス(1886−1966)とその妻マージョリー(1894−1985)の個人コレクションを基礎とするワシントンD.C.の美術館。相次ぐフィリップス家の人々の死を悼み、1917年にフィリップス・メモリアル・ギャラリーが設立されたことに始まる。1921年から一般公開された。画家であり、美術史の素養もあったフィリップス夫妻は優れた鑑識眼と独自の趣味をもって、マネや印象派および、アメリカの同時代の画家たちの作品からなる大規模な近代絵画コレクションを築いた。ダンカン・フィリップスは1913年のアーモリー・ショーの展覧会に反発するなど、当初はむしろ保守的な趣味の持ち主だったが、しだいにアメリカにおける20世紀美術の収集を促した初期のコレクターのひとりとして知られるようになっていく。同美術館は生存中の画家たちの作品をアメリカではじめて積極的に収集した美術館としてきわめて重要である。
(陳岡めぐみ)
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●E・マネ http://www.mystudios.com/manet/manet.html
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