1830年代から1850年代あたりまでに成立した一連のバレエ。18世紀末からのフランスにおける文学、音楽、美術のロマン主義に刺激を受けて生みだされたバレエの総称である。この世のものではない妖精を主人公とし、森の中で、青白い月光に照らされて踊られるものが典型。また、身分の違いの恋を題材としたものも多い。その最初の作品は『悪魔のロベール』のバレエ場面とも言われる、現在でも上演される『ラ・シルフィード』『ジゼル』はその代表作である。薄地の白いつりがね型のスカート、ロマンティック・チュチュを着てポワント(トゥ)で踊るという、今日ロマンティック・バレエというと連想されるイメージもこの時期に形成された。ダンサーではM・タリオーニ、F・エルスラー、C・グリジらが活躍したが、1860年代には急速に衰えた。しかし、ロシアを中心に作品は継承され今日まで踊られ続けている。
(芳賀直子)
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