作曲の方法として、ある程度までセリー(音列)の展開に委ねるという考え。1920年のA・シェーンベルクの12音技法に端を発する。20世紀初頭より、音楽家はあらゆる伝統の束縛を根底から打破しようとしたきたが、その中で、音のいかなるヒエラルキーをも排除することを目的に投入されたのがセリーだった。音楽史上の名称としては、シェーンベルクのものからそれに意義を唱えた第二次大戦後の全面的セリー主義までを指す。ある種のセリー主義は調性との両立も可能だが、より一般的には無調音楽におけるピッチ構造を組み立てる手段として使用されてきた。そして当初はこのピッチクラスのみに用いられていたセリーは、全要素が対等化されなければならないという考えのもと、リズム、強弱、テンポ、音色などの音響の他の側面にまで拡張された。代表的な作曲家は、P・ブーレーズ、K・シュットクハウゼン、L・ノーノなど。セリーが聴取の段階でコミュニケーション可能な言語として作用しえないのではないかという批判もあり、その知覚の困難さが指摘されている。
(川那聡美)
関連URL
●シェーンベルク http://www.jeugia.co.jp/~se/ongakusi/49.html
●ブーレーズ http://w3.rz-berlin.mpg.de/cmp/boulez.html
●シュトックハウゼン http://www.stockhausen.org/
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