版画技法の一種。金属あるいは木製の四角い枠にぴんと張った薄い布を版として用いる。この薄い布に当初絹が用いられていたのでシルクスクリーンと呼ばれるようになった。しかし現在はテトロンやナイロンなどの合成繊維が一般的になっており、単にスクリーンプリントと呼ぶ場合もある。版式は型染めやステンシル、ガリ版印刷とまったく同じ孔版技法。スクリーンの図像部以外の部分に目止めを施し、スキージ(squeegee)と呼ばれる幅広のゴムのへらを使ってインクを用紙に押し出すと、目止めの施されていない図像部のみ、布目を通してインクが紙に転写される。目止めは筆で版に直接目止め剤を塗布するほか、感光乳剤を使った写真製版も広く行なわれている。均一な色面や、写真製版による写真画像の複製に適している。ほかの版画技法と異なり、紙以外に布や板などさまざまな素材や、平面だけでなく、曲面にも印刷可能である。シルクスクリーンを利用する作家は多いが、もっとも広範にその恩恵を受けたのは、A・ウォーホル、R・ラウシェンバーグの2人だろう。彼らはこの技法による版画も数多く制作しているが、それ以上に、絵画制作自体にこの技法を活用することで、絵画と版画双方の従来的な概念を打ち破った意味は大きい。
(木戸英行)
関連URL
●ウォーホル http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/a-warhol.html
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