芸術においては作品の物質的な基盤を指し、例えば油彩画ではキャンヴァスなどがそれに相当する。20世紀の半ば以降、文字通り作品を支えながら長いあいだ絵具の層の下に埋もれていたこの支持体の存在が示唆されたり作品の全面に押し出されるようになった。比較的早い例としては、戦後まもなく像が提示される表面である画布に裂け目を入れその背後を垣間見せたイタリアのL・フォンタナがいた。しかし、60年代末のフランスにおける運動であるシュポール/シュルファスはさらに進んで、資本主義社会における画壇や美術館などの社会制度に依拠した絵画の在り方を批判しつつ、支持体を主題とした。D・ドゥズーズは透明な膜が張られ枠組みが露になったキャンヴァスを提示し、C・ヴィアラは空間に吊り下げることにより画布の表と裏というヒエラルキーを解消しようとした。こうした「絵画の脱構築」により、絵画を神聖なオブジェではなく、社会において認識の対象にするのが彼らの目標だった。
(飛嶋隆信)
関連URL
●L・フォンタナ http://www.geocities.com/Athens/Agora/5156/
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