現代社会を成立させていた経済原理は、無尽蔵の資源及びエネルギーを前提とし、生産から廃棄へという一連の流れを生み出していたが、地球環境、人間の生活環境を鑑みれば、現在の環境・生活を維持していくためには、地球規模での持続能力が必要である。サスティナブル・ディベロップメントという言葉が登場したのは、
1972−87年の国際連合における「環境と開発に関する世界委員会」(ブルントラント委員会)で、報告書「我ら共有の未来」のなかで、循環的なプロセスをもたない大量生産→廃棄のシステムを批判し、環境の危機を訴え、地球的規模での恒久的対策をとる必要を提唱した。サスティナブル・ディベロップメントとは「持続可能な開発」あるいは「永続的な発展」と訳され、経済活動と自然環境のバランスが永続的に両立するシステムを構築し地球環境の再生と消費のサイクルを維持することをめざす、国際的規模での開発のための指針である。したがってその背景としては国際政治色も強く、米国と日本に対する欧州のブロック経済のための戦略としてプロパガンダされた経済用語とみられる。具体的方法としては、再生可能な資源の開発や代替物への移行であり、エコロジーという概念、リサイクルという方法論、共生という原理のもとで活動する人々のもとでのみ、サスティナブル・デザインはかろうじて成立するのである。
(紫牟田伸子)
関連URL
●「環境と開発に関する世界委員会」(ブルントラント委員会) http://www.longlife.pref.shiga.jp/virtualtown/gakusyukan/environ/decla/k1987sekai.html
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