1960年にジューン・ウェインがロサンゼルスに設立した版画工房。営利目的ではなく、リトグラフの普及振興を目的とした一種の教育機関として、フォード財団から助成金を受けて運営された。その活動は、技法素材の研究、リトグラフ制作のアーティストへの普及振興、アメリカにおける版画市場の公正な育成に欠かせない、プリント・ドキュメンテーションをはじめとする諸々の基準の確立と多岐に及んだが、なかでも重要なのは、アーティストの意図を理解し、その要求に的確に応えることのできる、マスタープリンターと呼ばれる版画技術者の養成プログラムだった。工房の実質的な活動期間は1960年から70年の10年間で、その後はニューメキシコ大学の版画科に統合されたが、その間に、約
70名のマスタープリンターを輩出し、1960年代から70年代のアメリカにおけるプリント・リバイバル(版画復興)の機運をつくった。また、10年間の活動期間中、同工房で制作したアーティストは、R・ディーベンコーン、S・フランシス、P・ガストン、J・アルバース、D・ホックニー、A・ジョーンズなど数百名にのぼり、2,000エディション以上の作品が制作されている。
(木戸英行)
関連URL
●ディーベンコーン http://www.crownpoint.com/html/diebenkorn.html
●フランシス http://www.artworx-usa.com/featured.html
●アルバース http://www.dnp.co.jp/jis/gallery/ggg/gki/g128/g128ki2.html
●ホックニー http://SunSITE.sut.ac.jp/wm/paint/auth/hockney/
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