毎春東京・上野の上野の森美術館で開催されている現代美術の展覧会。副題「現代美術の展望――新しい平面の作家たち」。展覧会のシステムとしては、まず主催者であるVOCA展実行委員会が美術館学芸員、評論家、ジャーナリストなどの専門家のなかから推薦委員を選定し、次いで各推薦委員によって1名ずつ指名された作家が平面作品を出品する形式で成り立っている。例年30数名の推薦委員と出品作家が参加しているが、出品に当たっては40歳以下という条件が課されており、また写真、版画なども含めて広く「平面」全般を対象としているが、実態としてはやはり絵画を中心としている印象が強い。平面作品との新しい対話の可能性を探ろうとする同展の企画趣旨は他に類例のないもので、1994年に第1回が開催されて以降着実に若手・中堅作家を発掘する実績を積み重ねているが、推薦委員制や年齢制限という同展独自のシステムには批判的な見方もあり、推薦依頼を断る専門家や出品依頼を断る作家もいる。なお例年、同展では出品作品の中からVOCA賞1点と奨励賞4点を授与しており、授賞作品は会期終了後に東京・有楽町の第一生命ギャラリー(なお第一生命は同展の協賛企業である)でも展示されている。
(暮沢剛巳)
|