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「アートを楽しむ気持ち」の仕掛け人
ギャラリストという仕事 暮沢剛巳 |
レントゲン芸術研究所の姿勢 ギャラリストと呼ばれる仕事がある。自前のギャラリーを拠点に、専属契約を結んだアーティストの展覧会を開き、作品の売買を行うことを活動の中心とした職業だ。このように書けば、なんだ昔からある画商を横文字で言い換えただけじゃないかと突っ込まれてしまいそうだが、しかし実際には、扱う作品が必ずしも伝統的な「画」とは限らない上、作品の売買とは別に、自らアーティストを発掘して育て、また様々な企画や仕掛けを通じてその社会的評価を高めていく役割が多くを占めるなど、その業態にはかなりの違いがある。現代美術のギャラリストは伝統的な日本画や洋画の画商とは異なる職業なのだと、この場で敢えて断言してもいいだろう。 小山登美夫――行動派ギャラリストのモットー さて今度は、90年代後半以降のアートシーンを大いに盛り上げた個性派ギャラリーについて一瞥してみよう。ちなみに、ここでいう「個性派」とは文字とおりの「個」、ギャラリストが自らの名をそのままギャラリーの名にかぶせて、自分の個性を強調したギャラリーのことである。ここで挙げた条件に当てはまる代表格としては、谷中の白石コンテンポラリーアート(SCAI)や青山のミズマアートギャラリー、恵比寿のオオタファインアーツやハヤカワマサタカギャラリー、大塚のTaka Ishii Galleryといったところだろうか。そのいずれ劣らぬ個性派ギャラリーの中から、今回は小山登美夫ギャラリーへとスポットを当ててみたい。 [くれさわたけみ 文化批評] |
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