2019年04月15日号
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「前衛芸術の日本 1910-1970」展

“Japon des avant gardes 1910-1970”(仏)

パリのポンピドゥー・センターで1986年末に行なわれた日本の20世紀芸術を総括した展覧会。高度経済成長を経て、山本耀司など日本人デザイナーがパリで賞賛された80年代、フランスでは現代日本への関心が高まっていた。すでにドイツやイギリスで日本の戦後美術の展覧会が開催されていたが、同展覧会は3,600平方メートルの展示空間に造形美術のほか、建築、工芸、デザインからも700点以上の作品資料が展示されるという、それまでにない規模のものとなった。同館チーフ・キュレーター(オープン時にはマルセイユ総美術館長に就任)のジェルマン・ヴィアットと高階秀爾がコミッショナーを務め、現代日本の独創性や各時代のリアリティを「前衛」という観点からまとめたこの展覧会は、海外において現代日本芸術の理解を深める重要な契機となった。
「カオス」と「ダイナミズム」をコンセプトとした建築、工芸、デザイン部門が、「静けさ」をテーマにした美術、写真、映像の展示スペースを囲む会場は、萬鉄五郎からもの派までの美術変遷史、奈良原一高の写真や暗黒舞踏、具体の記録映像のみならず、工業製品や日本家屋の再構成など、日本の社会と歴史、生活を体感できる多角的な展示であった。とりわけ河原温の《浴室》など初期の素描シリーズ、田中敦子の《電気服》をはじめとする具体やもの派の作品の再制作、フルクサスのマルチプルなど貴重な作品が注目を浴びた。オープニングでは村上三郎や、風倉匠と小杉武久によるパフォーマンスが再演され、50年代以降の展示は特に見応えのあるものだった。その後フランスで具体やもの派の研究が進んだのは、この展覧会によるところが大きい。また日本の美術館も積極的に自国の現代作家の作品を購入するようになり、各国で現代日本に関する企画展が開催されることになった点で、記念碑的な展覧会だったといえる。

著者: 栗栖智美

参考文献

  • 『ポンピドゥー・センター物語』, , 岡部あおみ, 紀伊国屋書店, 1997
  • Japon des avant gardes 1910-1970, , , Centre Pompidou, 1986

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