2019年08月01日号
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キネティック・アート

Kinetic Art(英)/Art cinétique(仏)

〈動き〉を取り入れた芸術作品の総称。静的な彫刻に対し自然力、動力、人力で動くオブジェを指す。その先駆は1910-20年代のM・デュシャンのレディメイドやL・モホイ=ナジやN・ガボの機械を動力とするオブジェであり、30年代にA・カルダーがモビールへと展開する。キネティック・アートが本格的に興隆するのは50年代以降であり、根底に伝統的媒体への懐疑と科学やテクノロジーへの関心があった。代表的な作家として、メタ機械的オブジェに見られるダダ、シュルレアリスム的方向性を示したJ・ティンゲリーと、科学技術や運動への関心を基盤とする構成主義的方向性を示したJ・ル・パルクらがあげられる。同時代のオプ・アートが二次元的な静止像の視覚効果を追求したのに対して物理的空間での動きを伴う場合が多い。60年末から70年代にかけてその関心は環境へと向かい、サイバネティック彫刻を提唱したN・シェフェールは光、音響、映像の全体的環境を追求し建築、都市に射程を広げ、グルッポ・Tは環境芸術、インスタレーション作品を制作した。80年代以降は技術的限界と表現の陳腐化により廃れた感が否めないが、機械と人間のインタラクティビティへの考察は現代のハイテク・アートに継承された点で現代性をもつ。付言すればカルダーとM・グラハム、シェフェールとM・ベジャールの協働のように舞台、舞踏との親和性の高さもこの芸術表現の特徴のひとつだろう。

著者: 松本晴子

参考文献

  • Origins and Development of Kinetic Art, Frank Popper, Littlehampton Book Services Ltd., 1968
  • Art of the Electronic Age, Frank Popper, Thames & Hudson, 1997

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