2019年06月15日号
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ソッツ・アート

Sots Art

1972年、旧ソ連のアーティスト、ヴィターリ・コマールとアレックス・メラミッドによってはじめられた芸術運動。メンバーはコマール&メラミッドのほか、エリック・ブラトフ、イリヤ・カバコフ、エドゥアルド・ガラホフスキー、イワン・チュイコフら。社会主義リアリズムとポップ・アートをかけあわせた造語であり、ソ連版ポップ・アートとして知られている。ソッツ・アートは抵抗の美術である。旧ソ連では社会主義リアリズムが公式の美術とされていたが、そのようなプロパガンダ芸術に飽き足らなかったアーティストたちは、プロパガンダを揶揄する作品を発表するようになる。アンディ・ウォーホルがマリリン・モンローによって資本主義の消費文明を描いたとすれば、彼らはレーニンやスターリンによって独裁的社会主義を描いた。しかも、その方法は、社会主義リアリズムの手法によって社会主義を相対化し、イデオロギーによってイデオロギー批判を行なうパロディだった。そのため、政府当局からは公認されず、「非公式芸術家」とされた彼らはアンダーグラウンドで活動することを余儀なくされた。作品発表の場にも恵まれなかったため、自分たちのアパートでささやかな展覧会を催し、そのうちコレクターによって購入された作品はひそかに西側に持ち出された。このように冷戦構造を背景にしていたソッツ・アートは、その解体に伴い分散していった。

著者: 福住廉

参考文献

  • 『コマール&メラミッドの傑作を探して』, 「揺らめく神殿 コマール&メラミッドの〈神話〉の行方」, 鴻野わか菜, 淡交社, 2003
  • 『美術手帖』1989年10月号, 「アート・イズ・ダイアリー」, コマール&メラミッド, 美術出版社
  • 『美術手帖』1990年6月号, 「ソッツアート スターリン批判の美術からレーニン批判の美術へ」, 椹木野衣, 美術出版社

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