2019年06月15日号
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フォルマリズム批判

Обвинения в формализме(露), Accusation of Russian Formalism(英)

1930年代から50年代のソヴィエトにおいて生じた、内容よりも形式の実験を重視した前衛的で難解な傾向を持つ芸術作品や作家を批判するキャンペーン。これによりロシア・アヴァンギャルドの多くが作風の転向を余儀なくされた。そもそも「フォルマリズム」は、ロマン・ヤコブソンらによるモスクワ言語学サークルや、ヴィクトル・シクロフスキー、ボリス・エイヘンバウム、ユーリ・トゥイニャーノフらをメンバーとするオポヤズ(詩的言語研究会)が行なった、文学作品を形式や構造の側面から研究する傾向に由来する。24年にトロツキーの著作『文学と革命』のなかでフォルマリズムが批判され、その後も文学におけるヘゲモニー争いの過程で形式や手法に凝った傾向を持つ作家はたびたび「フォルマリスト」として批判を受けた。30年代になると、社会主義リアリズムを唯一の公的な芸術形式として採択することが決定され、文学以外のあらゆる芸術ジャンルにおいて形式主義批判が生じた。このため「フォルマリズム」は否定的な言葉として定着した。最も大々的なフォルマリズム批判は、36年に『プラウダ』紙上で行なわれた、ショスタコーヴィチのオペラ『ムツェンスク郡のマクベス夫人』に対する、形式的でブルジョワ的であるという批判である。演出家のフセヴォロド・メイエルホリドは芸術実験の正当性の主張を貫いたため、40年に処刑された。

著者: 河村彩

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