2019年08月01日号
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反芸術パフォーマンス

Anti-art Performance

戦後日本前衛美術史研究家の黒ダライ児が命名した芸術表現上のジャンル。1957-70年までの間に美術家によって行なわれた「反芸術」の流れを汲む身体表現を指す。代表的なパフォーマーとして、ゼロ次元、九州派、集団蜘蛛、THE PLAY、クロハタ、告陰、アンビート、ジャックの会、糸井貫二、風倉匠、あさいますお、小山哲男らがいる。黒ダによる研究書『肉体のアナーキズム』によってはじめてその実態が体系的に解き明かされた。黒ダによる反芸術パフォーマンスの定義は明快だ。すなわち、時間的空間的に限定された場で、誰かに見せる意図を持ちながら、既存の芸術ジャンルに回収しえないほどの秩序転覆的な、ないしは境界撹乱的な力をもつ、生身の肉体による動作をともなった不定形の身体表現である。時間的な軌跡としては、57年に結成された九州派を前史として、反芸術の母体となった「読売アンデパンダン」展で育まれながら、その後路上へ展開し、やがてゼロ次元と糸井貫二という二つの頂点に達しつつ、大阪万博の70年で終わりを迎えた。肉体表現の内容としては、たとえば裸体や生理現象を露出したり、儀式的な暴力性を強調したりするなど、おぞましくも野卑な表現が多かった。それゆえ、週刊誌やテレビなどによってセンセーショナルに紹介されることはあっても、美術ジャーナリズムから正当に評価されることは少なく、したがって美術史からも長らく見過ごされてきた。だが、遠藤一郎やChim↑Pomなど、美術家による肉体表現が盛んになりつつある今、そうした現代アートにとっての歴史的起源のひとつとして反芸術パフォーマンスのもつ意義はけっして小さくない。

著者: 福住廉

参考文献

  • 『肉体のアナーキズム 1960年代・日本美術におけるパフォーマンスの地下水脈』, 黒ダライ児, grambooks, 2010
  • 『美術手帖』, 特集=行為する芸術家, 美術出版社, 1970年12月

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