2019年08月01日号
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実験アニメーション

Experimental Animation

作品の形式や制作の手法において独自のアプローチをとったり、アニメーション概念そのものに対する意識的な挑戦・再構築を行なおうと試みるアニメーションのこと。映画祭においては、オタワ国際アニメーション映画祭のコンペティションにおけるカテゴリ分けに象徴されるように、「ナラティヴ」作品に対しての「実験・ノンナラティヴ」といったかたちで、カウンターとしての表現を指す場合が一般的である。また、アメリカのアニメーション教育において重要な位置を占めるカルアーツ(カリフォルニア芸術大学)も、産業に人材を輩出する「キャラクター・アニメーション」学科と並んで、「実験アニメーション」学科を設置している。ロバート・ルセットとセシル・スターは著書『実験アニメーション(Experimental Animation)』の序文でそうした事態を的確にまとめている。そこでは、メインストリームのアニメーションが大規模スタジオにおける分業システムで画一的な手法・絵柄で作るのに対し、アニメーション作家が「個人」で自分独自の制作方法を案出することで作り上げる作品を実験アニメーションと呼んでいる。実験的な作品を作る個人作家の牙城であるカナダ国立映画制作庁(NFB)アニメーション部門の初代長官であり、自身も実験アニメーションを代表する存在であるノーマン・マクラレンや、抽象アニメーションの巨匠オスカー・フィッシンガーも、自分たちの実践のアイデンティティを(商業の集団制作に対し)個人的創造であることに見出している旨の発言を残している。実験アニメーションは多くが「ミニマルでダイレクトな」手法を用いるが(レン・ライやマクラレンが用いたフィルム上へのダイレクト・ペインティングはまさにその象徴となる)、それは個人制作(またはNFBなどのスタジオにおいても)ゆえの低予算の状況を反映したものでもある。

著者: 土居伸彰

参考文献

  • Experimental Animation: An Illustrated Anthology, Robert Russett and Cecile Starr, Van Nostrand Reinhold Company, 1976

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