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福岡アジア美術館
Fukuoka Asian Art Museum
1999年に開館した、アジア諸国の近現代美術を収集・保存・展示する美術館。いわゆる「アジア美術」を専門とする世界で唯一の美術館であり、国際展「福岡アジア美術トリエンナーレ」の主会場でもある。アジア21カ国、およそ2,400点の作品を所蔵しているほか、アジア諸国からのアーティストや研究者を招くレジデンス事業、さらに市民との交流を図るシンポジウムやレクチャー、映画の上映会などを催している。「アジ美」と略称されることが多い。福岡アジア美術館は福岡市美術館から分離・独立するかたちで新設された。79年に「アジア美術展第一部:近代アジアの美術 インド・中国・日本」で開館した福岡市美術館は、以後5年ごとに計4回のアジア美術展を催してきたが、その研究の蓄積を継承するかたちで福岡アジア美術館が生まれた。こうした背景には、アジア地域を重視する福岡市の都市戦略がある。89年のアジア太平洋博覧会をはじめ、90年からの福岡アジア文化賞、91年からはアジアフォーカス・福岡映画祭がはじまり、96年に開設された福岡市総合図書館にはアジア映画を中心とした映像ライブラリーが併設されている。これほど都市の文化戦略と密着した国内の美術館はほかに類例を見ない。
著者: 福住廉
参考文献
- 『美術手帖』1999年1月号, 「アジア美術館の誕生」, 後小路雅弘, 美術出版社
- 『国際交流』第89号, 「アジアな街の美術館から」, 後小路雅弘, 国際交流基金, 2000
参考資料
- 福岡アジア美術館, http://faam.city.fukuoka.lg.jp/