2019年04月15日号
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静かな演劇

Quiet Theatre

唐十郎、つかこうへいから野田秀樹にいたる1960年代から80年代までの非日常的なイメージが散りばめられたにぎやかな演劇とは対照的に、日常のなかに生きる人々を日常生活レヴェルのエネルギー量で演じる演劇を示す批評用語。80年代の消費社会の喧騒が過去のものとなった90年代以降の日本社会らしい演劇と評されることがある。岩松了、宮沢章夫、平田オリザらの系譜を指して、『共同通信』文化部の片岡義博が93年に「静かな舞台」と称し、その後、演劇評論家の扇田昭彦らが「静かな劇」という語を用いたのがその名の由来とされている。特に、多くの場合その代表例として考えられているのは、平田による舞台である。現代口語演劇を標榜した平田は、作家の個人的主張を消したうえで事物のリアリティを提示する舞台を創作した。ただし、おおげさで誇張的な表現から離れて日常的なエネルギーのレヴェルで演じることが「静か」であることの基本的条件であるとしても、そこにおける各作家の試みは多様である。定義としては曖昧なところがあり、舞台空間が「静か」であるという点にのみ注目するならば、60年代にも別役実や太田省吾によってすでに試みられてきたし、より古くは岸田國士の写生劇の伝統を有する近代劇にもそうした側面を見出すことは可能である。

著者: 木村覚

参考文献

  • 『日本の現代演劇』, 扇田昭彦, 岩波書店, 1995

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