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越後妻有トリエンナーレ2012、お勧め作品紹介(著:齋藤路恵さん)

最終更新日:2012年09月09日

9月6日発行の、artscape news にて、越後妻有トリエンナーレ2012の、お勧め作品を教えてください、と書いたところ 齋藤路恵さんより、お勧めの作品を紹介するメールが届きました。下記に全文掲載いたします。

後書きに「大地の芸術祭のお勧めを」とあったので、メールしてみました。
まさに今越後妻有にいて、iphoneからメールをうっています。
お勧めは k084 力五山 『祭「還るところ」』です。

 

生き生きとしたかつての集落の記憶と現在の静けさのギャップが強いショックを与えてくれました。
地震による道路の閉鎖でかなり行きにくい場所にあります。
落っこちそうな山路を何分もかけて越えて行き、自動車を停めます。
とても静かです。家はあるのに人の気配がありません。
少し歩くと大きな平面作品が見えてきます。
この集落に住んでいた人の生き生きした写真を、絵画で大きく描き写したものです。
大きな絵画は地元の墓の前にあります。
画面の中の賑やかさ、墓場に見る集落の歴史、現在の静けさ。
集落を盛り上げようという作品の意図とそれを圧倒する現実に、言葉を失いました。
いったいこの現実の前で何ができるのか?

 

神社には絵画の中に描かれた人々による野菜の無人販売があります。
描かれた人々は元気で野菜を作っているのだとわかります。

 

案外集落には若い人も住んでいるのかもしれません。
が、まったくその姿が見えないため、終わりの予感ばかりが掻き立てられます。

 

地元に26年住んでいるというおばさんが「川西にあんなところがあったとは。作品の好みは人によって違うだろうけど、わたしはすごいと思った」というようなことを言っていたので、行ってみました。 わたしも良かったと思いました。

 

お勧めです。

(齋藤路恵)

「お勧め作品」の情報、お待ちしております。