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Recollect, Gaze, Material in Common チェコ・日本現代美術国際交流展

最終更新日:2015年09月14日

本展では、チェコへの留学・滞在経験のある日本人作家2名(大成哲、大坪晶)と、チェコで活躍する海外作家4名1組(Aleksandra Vajd & Hynek Alt [アレクサンドラ・ヴァイド/ ヒネック・アルト]、Patrik Hábl[パトリック・ハブル]、Ladislav Vondrák[ラディスラヴ・ヴォンドラーク]、 Peter Fabo[ピーター・ファボ]、Eva Červená[エヴァ・チェルベナ])を紹介します。チェコ側作家はいずれも日本初紹介です。

チェコと日本の作家をつなぐキーワードとして、「Recollect、Gaze、Material in Common」を展覧会タイトルに掲げています。
「再収集/想起・記憶」 の2つの意味を持つ「Recollect」は、廃材の断片を寄木細工のように繋ぎ合わせ、一枚の板に再構築した立体作品を制作するピーター・ファボ、捨てられた衣服や日用品を軽やかな筆致で絵画化し、存在の痕跡や記憶を見つめ直すエヴァ・チェルベナ、古い図鑑から文字を切り抜いたコラージュ作品や写真のリトグラフ転写によって、言語・イメージと記憶の関係を考察する大坪晶の3者に共通する態度と言えます。

「Gaze(眼差し)」は、アレクサンドラ・ヴァイド/ ヒネック・アルトとラディスラヴ・ヴォンドラークの作品において、自己と他者の関係を見つめるものとして立ち現われます。本展では、アレクサンドラ・ヴァイド/ヒネック・アルトの代表作である「15年間お互いを撮り続けるポートレート写真」のスライド上映を行ないます。また、父親と生身で向き合うパフォーマンスの映像作品を出品するラディスラヴ・ヴォンドラークは、父親との関係性、さらには旧世代や歴史の重みと向き合うことの意義や困難を考えさせます。

「Material in Common(素材の共通性)」は、東洋絵画の技法からインスピレーションを受け、墨の濃淡や自然の「気」の流れを思わせる抽象絵画を制作するパトリック・ハブル、チェコで長い伝統を持つガラスを素材に彫刻作品を制作する大成哲に顕著です。また、ピーター・ファボと大坪晶の作品は、それぞれ日本の寄木細工とチェコのコンクリート・ポエトリーとの繋がりを思わせます。

京都とプラハは、1100年以上戦火に焼かれることなく歴史を維持している古都であり、歴史を受け継ぎながら新しい文化を創り上げていく柔軟性において共通しています。両者は世界におけるアートの中心地ではないからこそ、「周縁」同士の対話によって共通性や相違を見出し、相互の文化理解や発展につなげたいと考えています。

□ キュレーション:高嶋慈 (タカシマ メグミ)
美術批評。京都大学大学院博士課程(美学美術史学)。『明倫art』(2011~13年)、批評誌『ART CRITIQUE』、小劇場レビューマガジン『ワンダーランド』(http://www.wonderlands.jp/) などの媒体や展覧会カタログにて、現代美術や舞台芸術に関する展評や評論を執筆。
「Project ‘Mirrors’ 稲垣智子個展」の企画に参加し、「はざまをひらく」展(京都芸術センター、 2013年)のキュレーションを行う。「egØ-『主体』を問い直す-」展(punto、2014年)キュレーター。
現在、artscapeレビューを連載中。

■ 関連イベント
9月19日(土)15:00〜関連レクチャー
「チェコ美術 ― 過去と現在」 阿部賢一(立教大学准教授 中欧文化論)

会場
瑞雲庵
(京都府京都市北区上賀茂南大路町62-1)
会期
2015年9月12日(土)〜10月25日(日)の土・日・祝
開館時間
13:00〜19:00
問い合わせ先
チェコ・日本現代美術国際交流展実行委員会
E-mail: czechjapan2015@gmail.com
主催
チェコ・日本現代美術国際交流展実行委員会
ウェブサイト
http://prague-japan.x0.com/