2021年09月15日号
次回10月1日更新予定

アートフラッシュニュース

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『妖精の問題』オンラインツアー Q / 市原佐都子

最終更新日:2021年05月19日

私は見えないものです。
見えないことにされてしまうということは、見えないことと同じなのです。

見えないものは存在しないものではない。2016年に起きた相模原障害者施設殺傷事件をきっかけに書かれたQ『妖精の問題』は、現代日本社会において差別や嫌悪の対象となり、ときに見えないことにされているものごとに「妖精」の名を与え可視化する。2018年にはKYOTO EXPERIMENTの公式プログラムとしても上演された本作は、顔の美醜、あるいは優生思想や出生前診断といった極めて「人間的」な問題を、突然変異のゴキブリや共生菌といった非人間的視点を経由することで相対化し、人間の生と性を過激に問い直していく。落語形式の第一部「ブス」、歌謡ショー形式の第二部「ゴキブリ」、怪しげなセミナー形式の第三部「マングルト」と異なる3つの形式を(ほぼ)一人で演じ切る竹中香子の怪演は、観客にときに生理的嫌悪感さえ与えながら目の前の「問題」から目を背けることを許さない。
オンライン版では新たに数名のキャストを加えるとともに、第一部をオンライン通話に、第二部をミュージカル風の映像作品に、第三部をウェブセミナーに変換。観客は劇場版とはまた異なる形で画面越しの上演に巻き込まれることになる。
Q『妖精の問題』オンラインツアーでは舞台版の配信、新たに現地キャストと協働するオンライン版の上演と併せ、現地のプロデューサーや批評家、研究者を招いてのトークセッションを実施する。『妖精の問題』で扱われるジェンダーや顔の美醜、障害などの問題に対する捉え方やそれらを考えるにあたって前提とする「常識」は観客の文化的背景に依存している。観客に対し作品の背景となる現代日本社会のコンテクストを提示することで作品に対する一層の理解を促すとともに、日本の観客とは異なるコンテクストを持つ現地の観客からの違和感や反発も含めた反応をすくい上げ、議論を交わすことで、日本/現地それぞれのコンテクストからは「見えていないもの」が浮き彫りとなるだろう。それは作り手/観客それぞれの価値観を改めて問い直す契機となるはずだ。

公演概要

中国語字幕配信

日程:5月29日(土)〜30日(日)
舞台版『妖精の問題』を動画配信サイトbilibili(https://www.bilibili.com)にて期間限定公開
言語:日本語上演、中国語字幕
視聴料:無料

インドネシア版配信

日程:5月30日(日)15:30-(ジャカルタ) / 17:30-(東京)
過去に行ったオンライン公演の記録映像を一部使用しながら、新たに現地キャストと協働するインドネシア版『妖精の問題』を上映
言語:日本語、インドネシア語上演、インドネシア語字幕
視聴料:無料(要予約)

トークセッション

日程:5月29日(土) (中国のみ)
日本、中国の2か国のトークセッション
日中の演劇シーンの状況や文化的コンテクストを互いに共有、意見交換し、『妖精の問題』への理解を深めていきます。

日程:5月30日(日) (中国・インドネシア 合同)
日本、中国、インドネシアの3か国の合同トークセッション
作中で語られる「妖精」とは何か?それぞれの社会の中で、「見えない(ことにされている)もの」とは?作品を通じてそれぞれの問題意識を交換しトークを行います。

関連レビュー

Q/市原佐都子 オンライン版『妖精の問題』|高嶋慈:artscapeレビュー(2020年06月15日号)
Q オンライン版 『妖精の問題』|山﨑健太:artscapeレビュー(2020年06月01日号)
市原佐都子/Q『妖精の問題』|高嶋慈:artscapeレビュー(2018年12月01日号)
Q『妖精の問題』|木村覚:artscapeレビュー(2017年10月01日号)

問い合わせ先
株式会社プリコグ
TEL:03-6825-1223 MAIL:info@precog-jp.net
主催
一般社団法人ドリフターズインターナショナル
製作
一般社団法人Q
企画制作
株式会社precog
ウェブサイト
http://drifters-intl.org/event/category/others/1366


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