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社会のダイバーシティを考える 立つ、歩く、走る―義足でこえる心の壁
最終更新日:2021年06月11日
義足という道具は、足を何らかの理由で切断した、あるいは先天的にない人の身体を支えるもので、日常生活用からスポーツ用、近年ではショーなどで見せるための義足まで作られています。本展は、社会のダイバーシティを考えるという大きなテーマのもと、ひとりひとりが生き甲斐をもち、それぞれ輝ける社会を考える手がかりとして、義足とそのユーザー、作り手の現在に着目します。「障がい」というのは、身体的状況そのものより、社会の中で生まれる不自由や心理的な壁です。互いを理解し、支えあう共同体として社会を整備していくことは、これから超高齢化社会を迎える私たち全員と無関係ではありません。義肢装具士の臼井二美男は、熟練した職人技と一対一のコミュニケーションを通して、ユーザーひとりひとりの身体にフィットする義足づくりに取り組んでいます。さらに義足を使いこなし、人同士の交流と活力を生む場として、義足で走る陸上クラブの活動に長く携わってきました。一方で東京大学の山中俊治研究室では、マス・カスタマイゼーションという考え方のもと、義足用モデリングソフトウェアや 3D プリンターという新しい技術を用いて、ひとりひとりに適した美しい義足を、より多くの人に届けることを目指しています。本展では、義足の歴史から、近未来の義足づくりまでを展望します。大量生産・大量消費が普通になった現代社会で、人間ひとりひとりに寄り添うことのできるデザインとはどのようなものか、義足を通して見えてくるのではないでしょうか。使い手に寄り添い、その背中を強く押してきた義足。そこに関わる人や歴史に目を向け、壁のない未来の社会を考えるきっかけとなればと思います。
撮影:越智貴雄/カンパラプレス
展示概要
・義足とはどんなものか?日常用義足とスポーツ用義足の実物などを展示。
・義肢装具士・臼井二美男(鉄道弘済会義肢装具サポートセンター)の義足製作ドキュメンタリー映像を上映。そのほか、製作過程を写真でも紹介。
・東京大学生産技術研究所 山中俊治研究室による3Dモデリングを用いた義足製作プロジェクトを実物と映像で紹介。
・1877年の西南戦争から1964年のパラリンピックまで、日本における義足の歴史を紹介。
関連イベント
トークショー「義足をつくるー人のためのものづくりへ」
講師:臼井二美男(義肢装具士、鉄道弘済会義肢装具サポートセンター)、山中俊治(東京大学生産技術研究所教授)ほか
トークショー「義足を通してからだを知る」
講師:臼井二美男(義肢装具士、鉄道弘済会義肢装具サポートセンター)、伊藤亜紗(美学者、東京工業大学准教授)
トークショー「義足を見せる、見せない」
講師:木下直之(静岡県立美術館館長、神奈川大学特任教授)、越智貴雄(写真家/カンパラプレス代表)
*各トークショーは、無観客で収録した映像を順次HP、YouTubeにて公開いたします。
展覧会概要
- 会場
- ギャラリーA4(エークワッド)
(東京都江東区新砂1-1-1 竹中工務店東京本店1F) - 会期
- 2021年6月11日(金)~8月5日(木)
- 入場料
- 無料
- 休館日
- 日曜・祝日、7月24日(土)
- 開館時間
- 10:00-18:00(土曜、最終日は17:00まで)
- 問い合わせ先
- ギャラリーA4(エークワッド)事務局 TEL:03-6660-6011
- 主催
- 公益財団法人 竹中育英会
- ウェブサイト
- http://www.a-quad.jp/exhibition/exhibition.html