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αMプロジェクト2022「判断の尺度」

最終更新日:2022年04月19日

全ては平等に。その呼びかけは、平等であるために過度なまでの正しさを私たちに求める。しかし正しさとはそもそも何 だろう。それはときに一つの原理へと向かい、小さな個別の差異を見えなくしてしまうだろう。いうまでもなく、平等である ことは同じであることを意味しない。同じでないものを等しいというとき、私たちは尺度を一つにして、個々についてのそれ ぞれの評価や判断を手放さなければならないのだろうか。そうではなく正しさを超えて区別し、言葉を与えようとするこ と。それには、私たちが手垢のついた言葉自体を作り直す必要がある。美術と呼ばれるものが少なくとも造形に関わる行 為であるならば、その造形=言葉を練り、拠り所にすることで、尺度自体について問い、判断自体を創造的に作ることが できるのではないだろうか。独りよがりになることなく、普遍的な外部をもつものとして。

私の判断が普遍性をもつかどうかは他者の判断に賭されている。私の判断を支えるものとして、私の外部を召喚すること。そこで想定されるのは、予め同じ尺度を持たないもの、置き換えできないものであり、その困難な対話が新たな言葉と批評を開く可能性の種となる。

1年の企画をとおして、それぞれの作家とともに判断の尺度について考えてみたい。これまでの尺度を手放して作り直す。この造形=言葉による判断は、世界を測る尺度となる。だからこの行為は、静かに深く政治的でもある。

千葉真智子(豊田市美術館学芸員)

ウェブサイトより)

ゲストキュレーター

千葉真智子(豊田市美術館学芸員)

豊田市美術館学芸員。愛知県生まれ。企画担当した主な展覧会に「寺内曜子 パンゲア」豊田市美術館(愛知、2021)、「岡﨑乾二郎 視覚のカイソウ」豊田市美術館(愛知、2019)、「切断してみる。 —二人の耕平」豊田市美術館(愛知、2017)、「遠隔同化 二人の耕平」「「切断」のち「同化」」KYOTO ART HOSTEL kumagusuku(京都、2016–2017)、「ほんとの うえの ツクリゴト」岡崎市旧本多忠次邸(愛知、2015)、「ユーモアと飛躍 そこにふれる」岡崎市美術博物館(愛知、2013)など。また、デザイン・装飾芸術に関する展覧会も企画。今年度、「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」(豊田市美術館)を担当開催予定。

参加作家

vol. 1 髙柳恵里|2022年4月16日(土)〜6月10日(金)
vol. 2 加藤巧|2022年6月18日(土)〜8月6日(土)
vol. 3 荒木優光|2022年8月27日(土)〜10月15日(土)
vol. 4 大木裕之 |2022年10月29日(土)〜12月17日(土)、23日(金)
vol. 5 高嶋晋一+中川周|2023年1月14日(土)〜3月11日(土)

展覧会概要

会場
gallery αM
(東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビルB1F )
会期
2022年4月16日(土)〜2023年3月11日(土)
入場料
無料
休館日
日・月・祝日
開館時間
12:30〜19:00
問い合わせ先
gallery αM
TEL:03-5829-9109
主催
武蔵野美術大学
ウェブサイト
https://gallery-alpham.com/exhibitiontop/