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世界は生きている 松藤孝一

最終更新日:2023年01月18日

多くの人が行きかうエントランスホールの開放的な空間で、現代のさまざまな美術の姿を紹介してきたShizubi Project。第8回は、ガラスを素材に人間と自然環境の関係性を見つめてきた松藤孝一(1973-)の作品を展示します。

溶解炉のなかで変幻自在に形を変えるガラスに魅せられた松藤は、2011年の東日本大震災で発生した原発事故をきっかけにウランガラスを扱うようになりました*。大小様々な形の集合体は、ビルが整然と立ち並ぶ都市を思わせ、穏やかな佇まいをみせます。しかしそこにUVライトを当てると一転、怪しく蛍光色に発光します。相反するその表情や、行き過ぎた力が加わると割れてしまうガラスの脆さはそのまま、人間の関わり方次第で恩恵にも脅威にもなりうるウランそのものの危うさへとつながります。

本展では、松藤の代表作であるウランガラスによるインスタレーション《世界の終わりの始まり》や、希ガスを閉じ込めたガラス作品、さらに気泡ガラスをレンズに使った写真や静岡の波の音とガラスを組み合わせた新作も発表します。人間よりも遥かに長い歴史を持つ元素や自然と関り合いながら世界の深遠さに迫り、自らの立脚地を探し求める作家の試みをご覧ください。

*作家が制作するガラス作品のウラン含有率は0.1%程度で、人体でカリウムが放出すると言われている放射線量とほぼ同程度です。

ウェブサイトより)

松藤 孝一

1973年長崎県生まれ。1995年愛知教育大学卒業後、財団法人ポーラ美術振興財団の在外研修助成により渡米。2001年イリノイ州立大学美術学部修士課程を修了。主な個展に2020年妖精の森ガラス美術館(岡山)、2021年アートハウスおやべ(富山)ほか。グループ展に2013年「あいちトリエンナーレ2013現代美術展企画コンペ」(伏見地下街/名古屋)、2020年「第23回岡本太郎現代芸術賞展」(川崎市岡本太郎美術館/神奈川)、2021年「富山ガラス大賞展2021[銀賞]」(富山市ガラス美術館/富山)など。現在、富山市立富山ガラス造形研究所准教授。富山と名古屋を拠点に活動。

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日時|2023年3月5日(日)14:00~ 各40分程度
会場|静岡市美術館 エントランスホール
参加費|無料
申し込み|不要(当日直接会場にお越しください)

展覧会概要

会場
静岡市美術館 エントランスホール
(静岡県静岡市葵区紺屋町17-1葵タワー3F)
会期
2023年1月17日(火)〜3月5日(日)
入場料
無料
休館日
月曜日
開館時間
10:00〜19:00
問い合わせ先
静岡市美術館
TEL:054-273-1515
主催
静岡市美術館 指定管理者(公財)静岡市文化振興財団
ウェブサイト
https://shizubi.jp/event/6099/