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『トランスアジア IRKUTSK・TOKYO』 スラバカロッテ個展

最終更新日:2023年04月07日

憧憬の彼方に

 

聖なる湖、バイカル湖のほど近くに位置するシベリアの町、イルクーツクで生まれ育った画家、スラバ・カロッテ。その創作の原点には神聖さを宿した人物や風景に対する憧憬、そして「愛と平和」の境地の希求がある。

青少年時代を過ごしたソ連末期に漁るように聴いた西側のロック音楽、イルクーツクの空想を誘う町並み、旅先で目にした寺院や教会、そして情緒あふれる異郷の風景。さまざまな「憧れ」に誘発されたイメージは、モノタイプ、コラージュ、各種の絵画などの表現手法と自在に結びつきつつ、別の次元へと昇華される。

なかでも「一点物」の「版画」という自己矛盾を楽しむモノタイプの作品は、「刷り」が生み出す偶然性やゆらぎを生かした深みある表現をもち、絵具の触感とともに立ち上るのは、人知を超えたモノタイプの手法がしばしば擬えられる「神の手」の境地だ。

東京では二回目となる今回の個展では、ここ数年の間に創作された作品40余点に過去の作品をプリントしたポスターなどが加わり、50点を超える作品が勢ぞろいする。

青年期のフランスに始まり、ユーラシアをまたぐ各地での滞在経験をもつスラバ・カロッテは、混乱の時代に、心の自由と可能性を求め、日本に第二の拠点を定めた。現在は、バイカル湖畔の町と浜名湖畔の間を行き来しつつ、祈るように創作に携わっている。

音楽をこよなく愛する仲間たちを思い浮かべ、
憧憬がいざなう美ときずなを心の糧に。

会場では、スラバ・カロッテや彼の友人たちの半生が記され、彼自身が表紙絵を手掛けた多田麻美著『シベリアのビートルズ イルクーツクで暮らす』(亜紀書房、2022年)も展示・販売。

プレスリリースより

SLAVA CAROTTE /スラバ・カロッテ

ソ連期のシベリア、イルクーツクで生まれる。本名はビャチェスラフ・シズィッフ。ソ連末期には「オフォルミーテリ」、つまり商店や映画館の広告画などを描く仕事についていたが、やがて石に肖像画を彫る仕事や室内に壁画を描く職業などをへて、フリーの芸術家に。油絵、水彩画、色鉛筆画、モノタイプ、コラージュ、ドローイング、既製品の応用、およびそれらを同時に用いた混合技法などで作品を制作。 2013年 ブルガリア、ソゾポルの『国境のない芸術』国際野外芸術コンテストで 最優秀賞を受賞。 イルクーツク美術館、ウスチ・オルドゥンスキー・ブリヤーツキー美術館に作品収蔵。

展覧会概要

会場
Gallery CORSO
(東京都千代田区神田神保町3丁目1−6 日建神保町ビル3F)
会期
2023年4月12日(水)~4月16日(日)
入場料
無料
開館時間
10:00~19:00
*初日12日は13:00から、最終日16日は18:00まで
ウェブサイト
https://www.lithmatic.net/lithApCorso/