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FOCUS#5 麥生田兵吾「色堰き空割き息返かかか」

最終更新日:2023年08月10日

色堰き空割き息返かかか(いろせき そらさき いきかえかかか)。

「色」は私たちが認識することの出来る対象を指し、「空」は固定的な実体を持たないために、私たちが捉えることの出来ない存在を意味する。そうした「色」が放つものを堰き止め、その内側にエネルギーを蓄える。あるいは、私たちが意識を向けることのない「空」を見据え、それを割く。その結果、社会や私たちが、まるでオノマトペ(擬声語)を汲み取るように直接的に、「息吹」を取り戻す。

本展の謎めいたタイトルは、麥生田の写真家としての態度を、そして本展で麥生田が目指すところを示しています。

私たちの感性や認識は、私たちが日々触れている膨大な視覚的なイメージによって、形づくられています。近年のAIが作るフェイク画像の発明は、視覚的なイメージが実在の世界の「写し」であると素朴に信じることの出来ない状況を作り出しました。視覚的イメージの変容は、私たちが抱く世界像をも変容させるでしょう。

麥生田は、こうした状況の内側で、私たちの感性や認識を批判的に捉え返します。私たちが認識出来るものと、出来ないもの。認識しているものの、ただの情報として退けられるもの。写真によって、私たちの認識と感性のあり方を探究してきた麥生田が作る展示空間の中で、私たちは何を見るのでしょうか。

ウェブサイトより)

麥生田兵吾

写真を中心に展開するその活動は、ふたつに大別される。ひとつは、自身が撮影した写真をWeb上に日々公開する「pile of photographys」。もうひとつは、「人工的に作られた感性」などを意味する造語「Artificial S」をテーマとする表現活動である。この「Artificial S」は、「眼の原体験」・「メタファー」・「他者あるいは超他者」・「制度化される風景」・「生/死」という5つのテーマに細分化され、麥生田はこれまで、それぞれのテーマにもとづいて個展を開催している。
*pile of photographys URL:http://hyogom.com/pilephotos/

展覧会概要

会場
京都芸術センター ギャラリー北・南ほか
(京都府京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2)
会期
2023年8月19日(土)〜9月18日(月)
*9月4日(月)は京都芸術センターの臨時休館に伴い、休廊。
開館時間
10:00〜20:00
問い合わせ先
京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)
TEL:075-213-1000 E-mail:info@kac.or.jp
主催
京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)
ウェブサイト
https://www.kac.or.jp/events/34069/