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ACT (Artists Contemporary TOKAS) Vol.6「メニスル」

最終更新日:2024年02月22日

私たちが見ているものは…?

インターネットの普及により、私たちは日々膨大なイメージを目から取り込んでいます。展覧会を訪れる前に、誰かのSNSで作品を見たり、その場に行ったような気分になったりした経験のある人も少なくないでしょう。オンラインでの鑑賞機会が増え、必ずしも実際に作品を見るべきだとは言えない時代になってきていますが、依然として、画面越しでは伝わりきらない作品の魅力があるのも事実です。

本展では、作品と対峙することで、その技法や構造の違和に気づきをもたらし、認知の構造を視覚的に表現する3組のアーティスト、大庭孝文、菅雄嗣、ヨフ(大原崇嘉、古澤龍、柳川智之)の作品を紹介します。

大庭孝文は、人間の記憶について着目し、写真をもとに絵画を制作しています。異なる複数の方法で「描く」と「消す」を繰り返し行い、その痕跡が層となって現れます。菅雄嗣は、ウレタン塗装で鏡面のように施した画面に絵具を均一にのせた後、一部の絵具を刮ぐようにして描いたり、その削り取った絵具で対になる作品を描いたりと、筆致の身体性や絵具そのものの物質感が放つ絵画性を探究しています。ヨフは、大原崇嘉、古澤龍、柳川智之の3人によるアーティスト・コレクティブです。視覚メディアにおける色彩、空間などの研究や実践をとおし、特殊な照明や空間構成の相互作用により、色の現出をコントロールし、新たな視覚体験を生み出しています。 彼らの作品は、実物へのつぶさな観察によって、細やかな凹凸やテクスチャが楽しめる表層や構造への理解を深め、また、展示空間内における作品と鑑賞者自身との距離の変化や視線の移動によって、さまざまな気づきを与えます。身体を使いながら時間をかけて作品と対峙することで、「モノを見て、何かを想起する」という行為自体を考え直すきっかけとなることでしょう。

本展のタイトル「メニスル」は、一見記号化された文字列のようですが、脳がその音を認識すると「目にする」という単語となり、同時に「実際に見る」というその意味自体も飛び込んできます。知覚から認識に変化するタイミングや記憶の仕方、他の事象との結び付け方は人さまざまですが、そのプロセスの差異こそが、この多様な世界を作り出しているのでしょう。3組それぞれの探究、そして新たな表現に挑戦した展示空間をぜひ会場でお楽しみください。

*「ACT(Artists Contemporary TOKAS)」は、 トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)のプログラム参加経験者を含め、今注目すべき活動を行う作家を紹介する企画展です。

ウェブサイトより)

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アーティスト・トーク

日時|3月2日(土)16:00〜17:30
会場|トーキョーアーツアンドスペース本郷
出演|大庭孝文、菅雄嗣、ヨフ(大原崇嘉、古澤龍、柳川智之)
参加費|無料

展覧会概要

会場
トーキョーアーツアンドスペース本郷
(東京都文京区本郷2-4-16)
会期
2024年2月24日(土)〜3月24日(日)
入場料
無料
休館日
月曜日
開館時間
11:00〜19:00
主催
公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 トーキョーアーツアンドスペース
アーティスト
大庭孝文、菅雄嗣、ヨフ(大原崇嘉、古澤龍、柳川智之)
協力
MAHO KUBOTA GALLERY
ウェブサイト
https://www.tokyoartsandspace.jp/archive/exhibition/2024/20240224-7278.html