私たちには見慣れたジャンも、彼のパートナーであったゾフィと並べると、また新しい面を発見できて興味深い。というよりゾフィの作品が素晴らしいため、ジャンが見劣りするのかもしれない。その意味で、もっと彼女の作品を展示すべきだったと思う。ジャンは、同じことの繰り返しなので後半は飽きてしまうのだ。
戦後の作品はよく知られているが、20年代からすでにアンフォルメルの作風で制作していたとは驚きだった。作品の総体から感じられるのは、空虚のなかへのエネルギーの噴出である。しかしモダンの矛盾を引き受けそれを体現したとしても、果たして彼が優れたアーティストなのかという疑問は残る。