5月15日(土)
ダニエル・ビュレン 窓の向こう側に
 4/9-5/29
 ハヤカワ・マサタカ・ギャラリー

ダニエル・ビュレン 窓の向こう側に

 ほとんどマニエリスティックな領域にまで達した感のある、このところのビュレン。今回はスライドする窓と、そこにはめ込んだ色つきのガラスによって、壁にグリッド状に配置された鮮やかな色面を変化させる。かれのトレード・マークであるストライプは、白と黒のアクセントとして、それら色面を区切るフレームに残存している。色のさまざまなレヴェル(壁面の地の色、その上に貼り付けられたカッティング・シートの色、それぞれが色ガラスを透過するときの色)を巧みに錯綜させる、幻惑的なインスタレーション。

第三回東京国際写真ビエンナーレ
 :記憶/記録する漂流者たち
 4/11-5/23
 東京都写真美術館

第三回東京国際写真ビエンナーレ :記憶/記録する漂流者たち イタリア・ルネサンス美術展  :フィレンツェとヴェネツィア

 一枚の写真がもつ力などというのは、もう神話にすぎないのか。会場を満たしたのは「現代美術ふう」の写真ばかり、つまりプチ・ボルタンスキー、プチ・ジェフ・ウォール、プチ・リヒターだ。しかもそこに例によって、セックス/ジェンダーや死というお題目が絡んでくる。会場に用意された長い(しかも読みにくい翻訳の)キャプションなしには、写真表現は成り立たないかのようだ。かろうじて救われたのは、おそろしくへたくそなドローイングのような、レミー・マルコヴィッツの写真。精密に作られた動物のはく製の、X線による透視写真だという。みえるものとみえないものをめぐる、乾いたユーモア。