シモーネ・ベルティ「Senza Titolo」
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イタリアのシモーネ・ヴェルティによる男性3人のポートレートは、背後に身体を支える奇妙なパイプ製のサポーターがついています。これは、支えていないと倒れてしまうハンディキャップの不確定なありようと、そこで働いているガードの人たちの人間関係を示すダイアグラムにもなっています。ある意味のCO-EXISTENCE、一緒に働くものの表象がこういう形で行なわれているわけです。これは、19世紀に長時間露光のポートレートを撮る時に、体を支えるため見えないように組まれたパイプの装置からヒントを得ています。
トマトが植わっている野菜畑を地上からエレヴェーションした作品は、一種の重力に対する問いかけを巡るものです。これは上にスプリングがついていて、触ると大地がゆらゆらと揺れます。これも支えていないと倒れてしまう私たちのありようから延長したひとつの新しい物語が造形化されていると思います。[長谷川祐子]
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