北海道立釧路芸術館、10月24日開館
釧路市幸町4-1-5 電話0154-23-2381
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北海道立の地方美術館として、旭川、函館、帯広に続いて開館。「美術館」ではなく「芸術館」という名称が示すとおり、コンサートや上映会など多目的に活用できるホールや音楽ワークショップ室などを備え、多分野にわたる活動をしていくようだ。設計を象設計集団が手がけ、倉庫街であった歴史を引用したレンガとガラスを多用した建築になっている。10月24日〜12月6日は「ベルギー・ゲント美術館展」を開催しているほか、11月14日〜22日には、寺山修司作品の上映も行なっている。
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高橋俊司展――赤と青の記憶――リバーシブルプリントの展開
会場:INAXスペース札幌
札幌市中央区南2条西2目18-1
住友生命札幌南二条ビル INAX札幌ショールーム内
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会期:1998年11月3日(火)〜11月27日(金)
開廊:10:00〜18:00、休館日=毎週水曜日、11/4,11,18,25
問い合わせ先:011-271-1710
作者ホームページ:http://www2s.biglobe.ne.jp/~shunji/ |
過去の自分の作品の写真をもとにした作品を、次々と精力的に発表している。彼の作品のほとんどすべては、もとをたどれば1991年に40号のキャンヴァスに描いた3点の作品に行き着く。これまで、その作品の写真を大量にプリントして、ホチキスでつなぎ合わせていくことにより、細胞が増殖していくようなイメージを与える作品を制作するとともに、さらにそれを写真に撮り次の作品を制作してきた。最近ではコンピュータで加工した画像も使っている。作品の変遷は、まるで生物の進化を見ているようだ。
今回は、CG処理した画像を半透明のバックプリントフィルムに分割して出力した約100枚を壁、床、空中に構成し、フィルムの両面性と周囲の写り込みに着目している。 彼の作品から常に生物的印象を受けるのは、彼が病院の臨床検査技師であり、日々シャーレのなかで細菌を培養していることと無関係ではないだろう。 |
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美の使徒――林竹治郎とその教え子たち
会場:北海道立三岸好太郎美術館
札幌市中央区北2条西15丁目
会期:1998年10月9日(金)〜11月29日(日)
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開館:10:00〜17:00、休館日=毎週月曜日、10/13、11/4、24
入場料:一般620円/高校・大学生360円/小・中学生250円
問い合わせ先:011-644-8901、テレホンサービス011-621-7000 |
札幌出身の画家三岸好太郎(1903-1934)の作品を収集・展示しているこの美術館では、収蔵品展のほか、三岸好太郎に関連した展覧会を年数回開催しているが、毎回興味深く内容が濃い。今回は、今世紀初頭の北海道洋画の黎明期を代表する画家林竹治郎と、彼が長く教鞭を執った札幌一中(現札幌南高)での教え子であり、日本近代美術史に重要な足跡を残す三岸好太郎、中原悌二郎、久保守らの作品を約50点展示している。林竹治郎だけで14点出品されていたが、この作家のこれだけの数の作品をはじめて見た。地味な展覧会であるが北海道の美術の歩みと作家の関係を知ることができる好企画であった。
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市川草介 第二章「生命現象」
会場:ギャラリーSEED
札幌市中央区南27条西11丁目1-1
会期:1998年11月7日(土)〜11月29日(日)
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開廊:11:00〜19:00、休廊日=毎週月曜日
問い合わせ先:011-561-2720 |
このギャラリーは、札幌の中心部からはずれたところに今年できたばかりであるが、もと写真撮影スタジオだった吹き抜けのある魅力的な空間を生かして、おもしろい企画展を毎月開催している。市川草介は、ここ数年続けている壁に打ちつけられた虫ピンとその間に張られた糸によるインスタレーションを会場いっぱいに展開した。空間に線を引くような彼の行為の軌跡が糸の蓄積として面や立体を形づくっている。これまでの作品に見られたような壁から1cmほどのところの矩形の平面や、蜘蛛の巣を思わせる壁から壁までを渡した立体のほか、壁と床の間に斜めに面を形成する新しい展開を見せ、これまで以上に虚無性を感じさせる。数日間を費やす膨大な作業を自ら「虫的行為に近いもの」と言うが、昆虫や植物などが生きるために繰り返しているDNAに刻まれた行為や成長のなかに人間の英知を超えた真理があるかのような考えにさせられる。札幌市在住。
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古幡靖展 FLIP-FLOP
会場:リーセント美術館
札幌市中央区北1条西28丁目2-5
会期:1998年11月13日(金)〜12月5日(土)
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開館:12:00〜18:00、休館日=毎週月曜日
入場料:300円
問い合わせ先:011-613-7444 |
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会場の壁にプロジェクターで大きく映し出された空と、床に置かれた4台の巨大なモニターに4分割された波打ち際の映像。海辺で飽かずに水平線を眺めている時に、空と海の間に我々が住む世界があることを再認識したことからこの作品が生まれている。せわしなく打ち寄せる波とは対照的に、空は一見静止画のように思わせるが、時折飛び去る鳥や雲のゆっくりとした流れにより、波と同じ時間がそこに流れていることに気づかされる。ロンドン大学ゴールドスミスカレッジで学び、帰国後、一時札幌と函館に住んでいたが、現在埼玉県在住。 |
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憧れの時・佐藤忠良展
会場:夕張市美術館
夕張市旭町4の3
会期:1998年10月31日(土)〜12月13日(日)
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開館:10:00〜17:00、休館日=毎週月曜日、11/4、24、25
入場料:一般500円/中学生以下は無料
問い合わせ先:01235-2-0930 |
戦後日本の具象彫刻を代表するひとりとして押しも押されぬ彫刻家の佐藤忠良(1912-)は、宮城県生まれであるが、父と死別後、母方の実家のあった夕張で6年間小学生時代を過ごしている。彼の美術への関心を育み、彼自身「こころのふるさと」と呼ぶ夕張で、彫刻54点と絵画31点を展示している。
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永井豪 世紀末展
会場:北海道立旭川美術館
旭川市常磐公園内
会期:1998年10月24日(土)〜12月20日(日)
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開館:10:00〜17:00、休館日=毎週月曜日、11/24
入場料:一般830円/高校・大学生510円/小・中学生300円
問い合わせ先:0166-25-2577 |
最近目立ってきた美術館でのマンガ原画展。革新的な作品を発表し続けてきた永井豪の30年に及ぶ活動を原画や映像などで紹介している。ベタ塗りのむらやカッティングシートの重なり、手書きのネーム、欄外の書き込みなど、印刷物では味わえない作者の手仕事を感じるが、逆にそれが粗にも見えてくる。マンガは20世紀後半を代表する表現方法であることは確かであり、その位置づけが最近盛んに試みられているが、本来印刷することを前提とした原画を、ストーリーのなかの数枚のみを展示することに、この種の展覧会では常に疑問がつきまとう。今回の展示の中では、永井豪の作ではないが、マンガの世界を立体化したフィギュアが一番刺激的であった。
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一原有徳・版の世界――生成するマチエール
会場:北海道立近代美術館
札幌市中央区北1条西17丁目
会期:1998年11月21日(土)〜12月20日(日)
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入場料:一般930円/高校・大学生570円/小・中学生360円
問い合わせ先:011-644-6881 テレホンサービス011-612-7000 |
小樽在住の版画家の大規模な回顧展。モノタイプ、金属凹版、オブジェを約300点展示している。一原有徳(1910- )は、40歳を過ぎてから油彩を始めるという遅いスタートながら、モノタイプ(一度しか刷れない版画の方法)の版画により50歳近くになってから注目され、今日では国際的にも高い評価を得ている。見る人の自由な発想に委ねると自ら語るように、実にさまざまなイメージを膨らませられる作品である。一見コンピュータグラフィックを思わせる作品もあるが、それがモニター上でつくられたのではなく、金属板やインクという物質との戯れのなかで、偶発性も手伝って生まれてきたところに興味を引かれる。作品点数が多く、類似した作品の羅列に多少食傷気味のところもあるが、見応えがある。高さ3.6m、幅13.6mの《ZOM Yokohama》は圧巻。
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ICHIHARA MATRIX
アーティスト:岡部昌生 、中岡りえ
会場:TEMPORARY SPACE
札幌市中央区北4条西27丁目
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会期:1998年11月2日(月)〜12月26日(土)
開廊:11:00〜19:00、休廊日=毎週日曜日
問い合わせ先:011-631-7555 |
北海道立近代美術館で開催されている「一原有徳・版の世界」展に呼応するかたちで開かれている2人展。フロッタージュで知られる岡部昌生は、1991年から展開している「IGHIHARA MATRIX」シリーズを約500点出品している。これは、一原有徳の鉛のプリント作品や腐食版、あるいはマンホールなど一原が住む小樽の街の断片を紙に擦り取ったシリーズである。一方、ニューヨーク在住の中岡りえは、一原有徳へのオマージュとして「動版」と題したビデオ作品を展示している。
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Corpse-Land(コープスランド)
会場:ギャラリーSEED
札幌市中央区南27条西11丁目1-1
会期:1998年12月6日(日)〜12月27日(日)
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開廊:11:00〜19:00、休館日=毎週月曜日
問い合わせ先:011-561-2720 |
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島津菜るみ、板東史樹、板東由佳子、古幡靖という、ロンドンのゴールドスミスカレッジを卒業した4人のコラボレーション展。28〜35歳の作家たちであるが、多くの優れた現代美術のアーティストを輩出しているアートカレッジ出身だけに、コンセプトが明確な展覧会になるだろう。土でつくった130本の塔、130本の豆電球、130本の虫の死骸を構成し、言葉のベールを剥ぎ取った「生」と「死」の問題を提示する。展覧会タイトルの「Corpse-Land」とは、「死体の地」の意。 |
Corpse-Land Geneva
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北の創造者たち'98 平面の断章III――知覚される身体性
アーティスト:井上まさじ、今泉真治、江川博、高坂和子、高橋靖子、艾沢詳子
会場:芸術の森美術館
札幌市南区芸術の森2丁目75
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会期:1998年10月18日(日)〜99年1月24日(日)
開館:9:45〜17:00、休館日=毎週月曜日及び12/28-1/4
入場料:一般600円/高校・大学生300円/小・中学生120円
問い合わせ先:011-591-0090
http://www.artpark.or.jp |
北海道在住の作家6人による企画展。絵画を成り立たせている要素に着目するシリーズの3回目として、空間性、物質性に続いて、今回は身体性を取り上げている。「身体」はここ数年流行のようにあちこちで取り上げられてきたが、ここでは、そうした時期を経た後にもう一度「身体性」を考え直そうとしている。肉体そのものや大振りのアクションから「身体」をとらえるのではなく、逆に「意識」と「現実」の狭間で制約となっている「身体」という着想から、手と目を通しての作者と絵画の関係を探っている。やや難解なテーマであるが、腹痛の時に改めて胃の存在に気づくように、各作家の抑制された表現のなかからにじみ出てくる身体の存在を認識させている。
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A★MUSE★LAND '99 月と太陽 アートでものがたり
会場:北海道立近代美術館
札幌市中央区北1条西17丁目
会期:1998年12月25日(金)〜99年1月31日(日)
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開館:10:00〜17:00、休館日=毎週月曜日、12/29〜1/3、1/15
入場料:一般510円/高校・大学生300円/小・中学生200円
問い合わせ先:011-644-6881 テレホンサービス011-612-7000 |
この美術館は、早い時期から子どもと親が楽しめる展覧会に力を入れ、毎年さまざまな切り口で美術の楽しさを伝えている。よくネタがつきないと関心するが、今回は太陽と月をテーマとした作品が集められるようだ。岡本太郎の《太陽の塔》、野村仁の作品などがすぐ思いつくが、セーラームーンまで登場するのはお愛嬌。
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洞爺村国際彫刻ビエンナーレ'99
応募締め切りd1999年4月30日
問い合わせ先d洞爺村国際彫刻ビエンナーレ実施委員会事務局
北海道虻田郡洞爺村字洞爺町96 洞爺村役場内 電話d0142-82-5111
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人口2,000人ほどの村の有志が中心となってつくり上げいる公募展。一般的に彫刻コンクールでは出品作品が巨大化する傾向が強かったが、この公募展では、「手のひらの宇宙」をテーマに、20×30×40cm以内の作品に限られているのが特徴。今回で4回目になるが、前回は63カ国から882点の応募があり、着実にその知名度をあげている。展覧会は1999年9月19日から10月17日に開催される。毎回凝縮された表現のなかに各作家の個性がひかる優れた作品が入選している。ちなみに大賞賞金は300万円。
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