荒川修作 マドリン・ギンズ展――死なないために 養老天命反転地
会場:岐阜県美術館
岐阜県岐阜市宇佐4-1-22
会期:1999年2月23日(火)〜3月28日(日)
開館:9:30〜17:00 休館日=月曜日、3月23日(火)(3月22日は開館)
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入場料:一般1000円/高校・大学生700円/小・中学500円
問い合わせ先:岐阜県美術館 058-271-1313
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1995年10月岐阜県養老町に「養老天命反転地」がオープンした。ここはアーティスト荒川修作とマドリン・ギンズの建築的実験を形にした恒久施設である。約2ヘクタールの土地に、25度の傾きを持ったすり鉢状の巨大なくぼみと不思議な建築物が作られている。観覧者はそのくぼみの中でバランスを失いながら歩き、地面に描かれた各地の地図を踏む。また建物の中の闇を手探りで不自由に歩く。そうすることでモノを見ることやこれまでの既成概念に疑問を感じ、新たな価値観を築くのだという。今回、岐阜県美術館で開かれている展覧会は、この「養老天命反転地」を荒川修作とマドリン・ギンズがどのように作っていったかを紹介しているもの。まず会場に入ると、パネルの上からごくわずかの線しか描かれていないキャンバスを見る作品がある。次に綱を握って傾斜台を登り、その上で目を閉じ口を開けてキャンバスを見るという作品が続く。また蚊帳をたくしあげながら巨大な檻のような構築物を通過する作品もある。これらは90年東高現代美術館、91年東京国立近代美術館で発表されたものだが、そのころから彼らは、観る側の体を動かす、いわば体験型の作品を模索していたことがわかる。その集大成が「養老天命反転地」なのだ。さらに養老の制作へ向けて描かれた荒川のドローイングが興味深い。随所に「…を作る事」「…する様に!」「…しよう」「…するか?」といったメモ書きが見られ、巨大なプロジェクト制作に向けた荒川の試行錯誤の流れがかいま見られる。
なお、会期中の日曜日には、2便、美術館と養老天命反転地を往復する無料バスが運行されている。
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インタラクション99
会場:ソフトピアジャパンセンター
岐阜県大垣市加賀野4-1-7
会期:1999年3月5日(金)〜3月14日(日)
開館:10:00〜18:00
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休館日=無休
入場無料
問い合わせ先:0584-75-6660 岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー
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2年に一度のビエンナーレ形式で開かれているメディア・アートの展覧会、今回はその第3回目。出品作品はすべて、いわゆるインタラクティブ・アートだ。観客自身の操作や動きによって作品が成立する。どれも新しい技術を用いた作品なのだが、そうしたコンピュータシステムなどハード部分は見えない裏方に入り込み、親しみやすい作品作りになっている。床に立つとシーソーのように揺れる巨大迷路を作ったロナルド・マクニール、ウィリアムス・キース。両側の壁に突き出した小さなコーンの先に手が触れるとさまざまな形の「かげ」が踊りだし、ユーモラスに動き回る近藤基+久納鏡子の作品……。どの作品もアミューズメントパークのアトラクションのように楽しめた。他にスタジオ・アッズーロ、イレーヌ・ブレチンらの出品。 |
ロナルド・マクニール/ウィリアムス・キース
「からだで探る迷路ゲーム」
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プッサンとラファエロ――借用と創造の秘密
アーティスト:遠藤利克
会場:KENJI TAKI GALLERY
会期:1998年12月12日(土)〜1999年1月23日(土)
開館:10:00〜18:00(金曜は20:00まで)
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休館日=月曜日、3/23(3/22は開館)
入場料:一般1000円/高校・大学生700円/小・中学生400円
問い合わせ先:052-971-5511 愛知県美術館
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写真が普及する19世紀まで、名のある画家たちの絵画が複製版画に写されて流布するというのは一般的だった。こうした「持ち運べる名画」により、多くの人々に絵画のイメージが定着していく。なかでもラファエロは、自身の構想を自ら版画という媒体を用いて広めていったことで知られている。
一方、ルネサンス、バロック時代、古代美術や優れた先人たちの作品を写し吸収することで、より深い創作性を求めることも一般化していた。特に17世紀のローマで活躍したフランスの画家、ニコラ・プッサンは、複製版画などからしばしばモチーフや構図を借りて、それを独創的な作品に昇華させていった。
この展覧会では、そのプッサンを中心に、近世ヨーロッパの複製版画の歴史と、絵画制作における借用と創造の関係を検証している。たとえば、プッサンの絵画を複製したオードランやペーヌらの17世紀の版画と、ラファエロの作品を基にした16世紀の複製版画を並べ、対比させるといった具合。そうすることで、プッサンがいかにラファエロから着想を得ていたかがわかるようになっている。実際にプッサンやラファエロの作品がなくても、画家たちの写し、写されるという関係が浮き彫りになっているわけだ。こうした模写の歴史が、いかにあらたな創造に結びついたかを、この展覧会では考えたい。
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飢饉――食糧危機をのりこえる
会場:名古屋市博物館
名古屋市瑞穂区瑞穂通1-27-1
会期:1999年3月6日(土)〜4月4日(日)
開館:9:30〜17:00
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休館日=月曜日、3/23(3/22は開館)
入場料:一般300円/高校・大学生300円/小・中学生100円
問い合わせ先:052-852-2655 名古屋市博物館
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重い展覧会だ。江戸時代の「飢饉」をテーマにしている企画展である。展示されているのは、「天明飢饉之図」(会津高田町教育委員会蔵)や「子殺しの図」(大阪人権博物館蔵)といった絵画等。たとえば「天明飢饉之図」には、飢饉で餓死寸前の多くの人々が描かれている。死にかかった母の乳を吸っている子供や、死者の足に食らいつく人など、直視できないような場面ばかりだ。月岡芳年や落合芳幾らの手による「無惨絵」という種類の浮世絵があるが、この展覧会の展示物は、リアルさからするとそれ以上の無惨さかもしれない。江戸期の経済システムが飢饉を招き、その飢饉を人々がどのようにとらえ記録し、かつそれを回避するためになにを行なったのかが、様々な展示資料から伝わってくる展覧会となっている。 |
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T's GALLERYファイナルプロジェクト「T'sの趣味」
会場:T's GALLERY
名古屋市中区錦3-6-8 GI、368ビル4F
会期:1999年3月16日(火)〜3月20日(土)
開廊:10:00〜17:30 休館日=無休
入場無料
問い合わせ先:052-953-9571 T's GALLERY
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名古屋市の繁華街、栄にあるT's GALLERYの最後の展覧会。ここは、田中衣料という会社が運営してきたスペースで、約6年間、若手のアーティストに無料で発表の場を提供してきた。これまで個展を行なった作家は120名をこえる。しかし田中衣料の事務所撤去にともない、ギャラリーもクローズすることとなってしまった。今回のファイナルプロジェクト「T'sの趣味」では、これまで個展を開催してきた作家達全員のファイルを展示し、スペースの歴史をたどる。なおクロージングパーティーは、3月20日17:00から。 |
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笠原出展 Sleep/Dream/Smile
会場:ウエストベストギャラリーコヅカ
名古屋市中区丸の内2-15-11
会期:1999年3月23日(火)〜4月6日(火)
開廊:11:00〜18:00(金曜は20:00まで)
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休館日=日曜日
入場無料
問い合わせ先:052-232-0777 ウエストベストギャラリーコヅカ
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作家をサポートするNマーク
問い合わせ=Nマーク 春日井市神領618-2 担当・武藤090-4166-6556
もしくはNマーク事務局 春日井市下市場4-3-5 A102 担当・西山0568-56-2561
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若手の同世代、同時代の作家に無償で場を提供し、次世代のアートシーンを考えていこうというシステム「Nマーク」が、昨年末から動き出した。主催メンバーは、西山禎泰、野田利也、武藤勇の3人。春日井市を中心に活動していく。このNマークは、プロデュースプログラム、ラボプログラム、イベントプログラムの3つのプログラムから構成される。プロデュースプログラムは、発表の場、展開の場を提供しプレスや広報などの支援を行なうもの。ラボプログラムでは、実験的表現や研究など、アート以外の様々な要素とアートをミキシングし、その中で積極的にアートを機能させていくという。さらにイベントプログラムは、アートにこだわることなく、人が常に集い期待させる何かがある場を作ること。これら3つを基礎にして、1年をめどに春日井での活動を行なっていく。
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