岡山市内の美術館やギャラリーを巡っていて、うまく時期が合えばB4版墨一色両面コピーによる『ARTS PAPER』を無料入手できる。個人でも年間講読を頼んでおけば2000円で送ってくれる。 これは地元の20代の若者が、ともかく足で情報を稼ぎ、印刷費を持ち出して発行しているもので、岡山倉敷のおもだったアートスペースの月間のスケジュールと、美術に限らず音楽、演劇などの耳寄り情報や、アーティストインタビューなどが掲載されていて、とても重宝。情報の選択もなかなか感度良好で、これからもさらに育っていくのかとても楽しみな情報ソース。 一方『備後美術』は、今や全国にその名をとどろかす広島県福山市の「アート印刷」が、備後地方(岡山西部から広島東部)の美術、文化の旬の情報や誌上アンデパンダンと称する応募作品掲載、アーティストインタビューなど盛沢山の内容で、カラー印刷の小冊子。さすがプロの仕事で、きれいなビジュアルの連続です。こちらは美術館などで見る事ができます。 いずれも地方限定ならではの細やかな目配り気配りで地域の住民になかなかの好評を博しています。遠方よりのお客様にもお勧めです。 『ARTS PAPER』 『備後美術』 HP http://www.art-g.co.jp/bingo/
『備後美術』
HP http://www.art-g.co.jp/bingo/
会場:ふくやま美術館 福山市西町2-4-3 会期:1999年4月9日(金)〜5月23日(日) 開館:9:30-17:00(入館は16:30まで) 休館=月曜日 問い合わせ:0849-32-2345 入場料:一般900円
院展同人として現役活躍中の福山出身作家塩出英雄の本格的な回顧展。 なにはともあれ端整で落ち着いた均衡を保った作品は心安らぐ。
会場:岸本町立植田正治写真美術館 689-4107 西伯郡岸本町須村353-3 会期:1999年4月10日(土)〜7月11日(日) 開館:9:00-17:00(入館は16:30まで) 休館=月曜日 問い合わせ:0859-39-8000 入場料:一般800円
四季折々いつ訪れても大山麓の豊かな自然が楽しめる美術館。島根県立美術館の開館により米子市美術館、足立美術館とあわせてはしごするドライブコースも確立。 今展では植田正治が1987年から1995年に制作したカラーから『長い創作活動のなかで培ってきた揺るぎないモダンな精神が生む「未だ見ぬ世界」』をのぞく作品達を展示。
会場:高梁市歴史美術館 719-0043 高梁市原田北町1203-1 会期:1999年4月24日(土)〜5月15日(日) 開館:9:00-17:00(入館は16:30まで) 休館=月曜日 入場料:一般300円 問い合わせ:0866-21-0180
平木政次は五姓田芳柳のもとで洋画を学んだ草創期の画家。また同時代の洋画家達の動向を伝える『明治初期洋画壇回顧』を記したことでも知られる。 現在の高梁市にあった備中松山藩士の子として生まれた縁で、今展では市内にある百点ほどの素描を集め、平木による藩主『板倉勝静像』や、2世五姓田芳柳による『平木正次像』などの貴重な作品がならぶ。 高梁、成羽、新見といった岡山県北部の高梁川流域は、早くから交通の要所であったり、明治期からキリスト教信仰が盛んであったこともあり、思わぬ人材を輩出し、歴史上のアーティストについては高い潜在能力も持つ。今後もこれらの地区の美術館、博物館は要チェック。
会場:成羽町美術館 716-0111 川上郡成羽町下原1068-3 会期:1999年6月3日(木)〜8月1日(日) 開館:10:00-17:00 入館は16:30まで 休館=月曜日 入場料:常設展示料金として一般300円 問い合わせ:0866-42-4455
若手新進作家を個展形式で紹介する年1回の企画「アート・ビジョン」の第4弾。 過去3回は岡山で活躍する30歳代の作家をとりあげ、作家との協同作業により実にきめの細かい企画、展示を行なってきたが、突如今回は全国区で知名度の高い菱山裕子の紹介と劇的な衣替え。 もちろん菱山さんのクオリティーの高い作品達は存分にその存在感を発揮するだろうが、この変更でアート・ビジョンが、どう性格を変え、地元の観客にどう受け止められるのか興味津々。