ダニ・カラヴァン《隠された庭への道》完成 7月9日(金)公開
会場:札幌芸術の森野外美術館 札幌市南区芸術の森2丁目75 会期:1999年7月9日(金)〜11月3日(水) 開館:9:45〜17:30(6〜8月以外は17:00まで) 11月3日まで無休 来年度以降は4月29日〜11月3日 入場料:高校生以上600円/中学生以下無料 問い合わせ先:011-591-0090 URL:http://www.artpark.or.jp
イサム・ノグチのモエレ沼公園に引き続き、札幌にこの夏、世界に誇れる芸術空間がまたひとつ加わる。全長270メートルに及ぶ《隠された庭への道》が札幌芸術の森野外美術館に完成するのである。ダニ・カラヴァンは、セルジ・ホントワーズ(フランス)の《大都市軸》、ニュルンベルク(ドイツ)の《人権の道》、ポルト・ボウ(スペイン)の《パサージュ》をはじめ、世界各地にそれぞれの場所の環境や歴史と深く結びついたスケールの大きな作品を設置し、高い評価を受けているイスラエルの彫刻家であり、1994-95年に国内を巡回した展覧会や昨年の高松宮殿下記念世界文化賞受賞で日本でもその知名度を上げた。国内では宮城県美術館や大阪・長居陸上競技場への設置例はあるが、札幌の作品は、その規模や完成度のうえからも間違いなく彼の代表作のひとつに数え上げられるものであろう。 この《隠された庭への道》は、1992年から構想が練られ、これまで8回にわたる現地調査やシミュレーションのなかから形づくられてきたものであり、この地の緑豊かな環境を生かし、自然との関わりが重要なテーマになっている。森のなかへと通じる沢沿い約200メートルにわたって、門、半球状に盛り上がった地面、日時計、噴水、円錐とそのなかの雪室、蛇行する水路など7つのエレメントが配置され、さらに樹林のなか70メートル先に円形の広場が設けられている。それぞれの造形物は、太陽光、地面、風、水、雪、鳥のさえずりや葉擦れの音など自然のさまざまな要素を強く感じさせるものであり、最後に到達する森のなかの広場は自己と向き合う場となる。それらを巡り歩き、体験することをとおして、自然と人間との関わりを深く考えさせる作品である。人々に多様な想像を促する幾何形体のホワイトコンクリートと金箔によるニュートラルな造形物が、芝や木々の緑や空の青と美しいコントラストを生み、自然の様相を際だたせている。
アーティスト:マグダレーナ・アバカノヴィッチ、ダニ・カラヴァン、マルタ・パン、 リチャード・ロング、リチャード・セラ、井上武吉、長沢英俊、宮脇愛子他
会場:芸術の森美術館 札幌市南区芸術の森2丁目75 会期:1999年7月10日(土)〜8月22日(日) 開館:9:45〜17:30 会期中無休 入場料:一般800円/高校・大学生400円/小・中学生200円 問い合わせ先:011-591-0090 URL:http://www.artpark.or.jp
札幌芸術の森野外美術館のダニ・カラヴァン《隠された庭への道》完成に合わせて、彫刻と環境の関係を問う展覧会を開催する。ジュリアーノ・ゴーリ氏が、フィレンツェ郊外のチェレに所有する50ヘクタールの敷地に展開する現代美術のコレクションは、点在する建物内のほか、農場、自然庭園などの屋外彫刻が中心となっている。それらは、作家が現地を訪れ、その地の自然環境や歴史的背景に触れるとともに、ゴーリ氏とのディスカッションや使用人たちとの交流のなかから生まれてきたものである。この場所のために生み出された作品は、ひとつの彫刻と環境、作家と発注主の理想的な例として、しばしば「理想郷」にも喩えられている。この展覧会では、それらの野外に設置された38作家の彫刻を、模型、ドローイング、写真、図面、ビデオなどで紹介する。野外美術館のダニ・カラヴァン《隠された庭への道》とあわせて見ることによって、これからの彫刻のあり方が見えてくるかもしれない。 展覧会カタログ
展覧会カタログ
会場:芸術の森美術館 札幌市南区芸術の森2丁目75 会期:1999年5月23日(日)〜7月4日(日) 開館:9:45〜17:30 会期中無休 入場料:一般600円/高校・大学生300円/小・中学生120円 問い合わせ先:011-591-0090 URL:http://www.artpark.or.jp
芸術の森美術館では、毎年札幌にゆかりの深い画家の展覧会を開催しているが、今回はその10回目となる。現在、八木保次はダイナミックな筆づかいによる色彩が織りなす躍動的な非具象作品を、八木伸子は室内や雪景色などを題材に淡い色調のなかに清涼感溢れる静かな世界を描き、まったく異なる作風を展開している。この展覧会では、二人の札幌での画家への歩みから、結婚後、東京で50年代末の美術動向に触発されて抽象表現に向かう時期をともに経ながらも、それぞれ異なる作風に向かっていく過程を、油彩、水彩、素描90点によりたどっている。50年以上にわたる作品の変遷とともに、二人がどのように刺激し合いながらそれぞれの造形世界を深めてきたかを見ることができる。
会場:市立小樽美術館 小樽市色内1-9-5 会期:1999年6月2日(水)〜7月25日(日) 開館:9:30〜17:00 休館日=毎週月曜日、7/21 入場料:一般500円小・中学生100円 問い合わせ先:0134-34-0035
開館20周年記念として開催する展覧会。北海道全体を網羅する初めての美術公募団体として北海道美術協会(道展)が創立した1925年から第二次世界大戦終結までを「北海道美術の青春期」として、「北海道画壇を形成する」「中央画壇へ進出する」「小樽を舞台に」という三部構成で紹介する。これまで美術館で開催される北海道美術関連の展覧会は、出身や在住作家の回顧展が中心であったが、この展覧会や北海道立三岸好太郎美術館での「1930年代の青春」展のように、北海道美術を形作ってきた過去の動向の時代的検証を試みる展覧会が増えてくることだろう。
会場:北海道立三岸好太郎美術館 札幌市中央区北2条西15丁目 会期:1999年6月3日(木)〜7月25日(日) 開館:10:00〜17:00 休館日=毎週月曜日 入場料:一般620円/高校・大学生360円/小・中学生250円 問い合わせ先:011-644-8901 テレホンサービス011-612-7000
1934年に31歳で亡くなった札幌出身の画家・三岸好太郎に関係する企画展を毎年開催しているが、今回は北海道独立美術作家協会にスポットを当てている。独立美術協会は、1930年に里見勝蔵、児島善三郎、林武、三岸好太郎らによって新時代の美術を確立することを期して創立されたが、この独立展には三岸好太郎を慕って北海道出身や在住の画家が多く出品していた。彼らによって結成されたのが北海道独立美術作家協会であり、1933年7月に札幌で第1回展が開かれている。菊地精二、小山昇、植木茂、国松登らが中心になっていたこの会には、三岸好太郎が指導的立場として参加していた。展覧会では、1930年代に独立展に出品していた北海道ゆかりの作家の作品約50点によって、新しい絵画を求めて意欲的な活動をくりひろげた当時の若い芸術家たちの様子を紹介する。
会場:北海道立近代美術館 札幌市中央区北1条西17丁目 会期:1999年4月28日(水)〜7月4日(日) 開館:10:00〜17:00 休館日=毎週月曜日 入場料:一般1100円/高校・大学生600円/小・中学生400円 問い合わせ先:011-644-6881 テレホンサービス011-612-7000 URL:http://www.aurora-net.or.jp/art/dokinbi/
コメント:シルクロードが栄えた漢から唐の時代にスポットをあて、北京の中国歴史博物館や西安の陝西歴史博物館などの一級文物(国宝)を含む185点を展示。北海道立近代美術館と北海道新聞社が協力して企画された、かなり力のこもった展覧会である。会場の造作も凝っており、見応え充分である。
会場:中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館 旭川市4区1条1丁目 会期:1999年6月1日(火)〜7月25日(日) 開館:9:00〜17:00 休館日=毎週月曜日 問い合わせ先:電話0166-52-0033
戸張孤雁(1882-1927)は中原悌二郎とともに、荻原守衛と高村光太郎がもたらしたロダンの近代彫刻の息吹を受け継ぎ、発展した彫刻家として知られている。この美術館で戸張孤雁の《虚無》を収蔵したのを機に企画したこの展覧会は、東京国立近代美術館と長野県の碌山美術館から借用した彫刻25点、油彩、鉛筆画、版画15点を展示する。中原悌二郎の全作品を収蔵するこの美術館で、同時代の戸張孤雁の作品を多く見られることは意義深い。